刀剣本来の価値をお届けします。 HOME
太刀・刀

備前国住長船祐定 永正十年八月日

商品番号 :B-030-K-044

室町後期 備前 特別保存刀剣 白鞘

6,000,000円

刃長:66.2 cm 反り:1.7 cm 重ね:0.85 cm

体配
本造、庵棟、中心は生で孔は三つ(一つ埋め)、鑢目は切り。
地肌
小板目肌に杢目交じり良く詰み冴えて古調の風合いになる。
刃文
広直刃調に大湾れ。焼き幅広く匂本意で匂口深く刃縁は締まりごころ。
鋩子
尖りごころに少し深く返る。
備考
踏張が残り、中心にふっくらと平肉がついて高い健全度に驚かされる与三左衛門尉(当店および中原信夫氏極)の一振りです。

名無しの祐定

与三左衛門尉・・・俗銘の有無で先ずは区別されてしまう評価。ある意味頷け、ある意味スッキリしないのはなぜでしょうか。それは多分、備前国住長船祐定という単調な銘が刻まれた本刀のような刀がここに存在するからだと思われるのです。なぜなら、下記で比較された重要と特保の祐定は同人作と思料されます。しかも品質に優劣つけ難く、状態に至っては本刀の方が健全度が極めて高い。なのに巷では不本意な評価がまかり通っています。
ではこの重要と同水準に極られる本刀に、なぜ俗名が付けられなかったのか・・・たとえば、城将や家老、有力武将といった重鎮が注文主だったとしたら、鍋島藩肥前刀の献上銘と同じく上級武士に対する配慮がなされたとすれば不思議ではありません。それが戦国の世としてもです。またその一方で、然るべき人物によって大切に扱われ、優美な姿を今に伝えられているとも言えるのです。刀剣研究家の中原信夫氏も本刀の極に関して太鼓判を押しています。
この刀、俗銘にこだわるブランド好きではなく、地鉄、匂口、姿といった造りの品質にこだわる愛好家に所持していただきたい一振りです。なにせ、無銘極の重要があふれている現況を差し引いても、祐定銘のある本刀は素性不明の無銘刀とは較べるもなく信頼ある刀です。上身だけを鑑て極が許されるなら、この祐定は重要候補に挙げられると思われますし、鑑定会に出せば口を揃えて与三の名を挙げるでしょう。どのみち、どんな能書きを語っても、経眼し評するのは諸氏愛好家であり、次の持主なのです。(本刀祐定に代わり店主からの代弁)

本刀と備前国住長船与三左衛門尉祐定(当サイト・導かれし末古刀カテゴリ掲載品)の比較

この二振、姿、地肌、刃文にいたるまで大きな差違は感じられません。あえて挙げるなら、中心と刃長に約1寸の差があるのと、焼出の違い、俗名の有無といったところでしょうか。手にした印象の趣向はあるにせよ、両者を品質の観点から優劣をつけることには抵抗すら覚えるほどです。ましてや、本刀の方が研減りや疲れといった健全度では、与三左衛門尉よりはるかに状態が良く、肉置もふっくらしています。さらに片手打で頃合い腰反りの刀姿は、末備前特有の魅力を発しています。
本刀、俗名は刻まれていませんが、実は与三左衛門尉と見なすべき(中原信夫氏の鑑定)一振なのです。かたや誰もが是認する与三左衛門尉の重要刀剣、そして本刀は俗名のない祐定の特別保存刀剣ですが、同人作との極からそのクオリティは同等といえるでしょう。加えて刃文は、両者とも大きく湾れた匂出来で、与三左衛門尉の極上の作品に見られる数少ない作風であり、彼の別な側面を垣間みせています。本刀は本来、特別保存刀剣にとどまる作ではなく、重要刀剣に匹敵するという評価がふさわしい一振なのです。

ページトップ