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太刀・刀

山城大掾源國重

商品番号 : B-079-198

江戸前期 武蔵 特別保存刀剣 白鞘・拵付

売約済

刃長:63.5 cm 反:0.7 cm 元幅:3.40 cm 先幅:2.48 cm 重ね:0.78 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は筋違。
地肌
板目に小板目交じり、良く詰み総体に精美な肌となる。鎬地・棟寄りは柾目になる。
刃文
焼幅広く、頭の揃った大五の目乱が間隔を持って連なる。匂口は沸本位でふくっらと深く刃縁が冴えて、刃中に小沸が厚く付く。長い棟焼がある。
鋩子
直調に入って小丸が深く返り、そのまま棟焼となって刃長の半分上まで続く。

寛文新刀の姿をしていながら元先の差はあまり感じられず、2尺1寸強と少し短めでの刃長にしては厚めの重ね。見た限りでは強い刀姿です。実際、手にするとゴツいという感触。その割には垢抜けた印象を抱くのは、やはりこの刃文がそう見せているのでしょうか。焼の入った刃部とそれ以外の平地・鎬地部分をくっきりと二分しているかのように目に飛び込んできます。大袈裟にいえばコントラストが効いた刃文という表現はいかがでしょう(ちょっとイマドキ風すぎますか?)。その刃文はというと、間隔が少し開き気味の大五の目乱。大きめの五の目が波のように連なる様は結構大胆な見映えをしています。それでも頭は揃い気味で高低の強弱は抑えています。んー、濤瀾風の五の目のような・・・丸い飛焼があったら濤瀾刃ということに・・・なりませんね。

肝心の匂口は良い出来です。沸本位でふっくらと深く刃先側に広がり、刃中に小沸が厚くつきます。所々短い砂流も所作しています。反面刃縁は冴えて荒沸も叢沸もなく上手な焼入です。國重といえば水田の系統、ならば特徴とされる激しく沸付いた所はないのかと言われそうですが、ありません。叢っ気のある粗沸が刃縁や鎬地にバラバラっとかかるのを、よく覇気のあるとか野趣に富んだとか言いますが、これを褒めるのはどうかと・・・焼入がうまくコントロールされていないということであり、本来、品質の評価は芳しくありません・・・それが好まれるのはわかりますよ、賑やかで華々しく見えますから。でも当店としてはあえてお薦めはしません。じゃあ、本刀はその水田の特徴がないのかといえば、あります。棟焼です。鋩子から中程まで続く長い棟焼があります。要するに本刀は水田の特徴を備えながら、焼入が見事に上手くいった一振。歓迎しない叢っ気のある粗沸もなく、國重の良さがでた作といえます。ただ、一ヶ所だけ小さい疵が確認できます。切先の棟に数ミリの割れのような疵です。鑑賞には差障りのない疵ですが、見て見ぬ振りをしてご紹介するわけにはいきません。あしからずご了承ください。
本刀の國重は備中ではなく山城大掾を拝領している武蔵の國重。銘鑑には万治と貞享頃の二人が載っていますが、寛文新刀の姿からは万治頃の國重かと思われます。ただ、これまで世に紹介されてきた國重の多くは貞享の國重としています。当店の推測は果たして正しいのかどうか。どちらも同人の可能性だってありえます。まあ、どのみち水田の系統には違いありませんが・・・

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