刀剣本来の価値をお届けします。 HOME
太刀・刀

太刀

堀井俊秀作 紀元二千六百年六月吉日

商品番号 : B-084-161

現代 北海道 特別保存刀剣 白鞘

1,300,000円

刃長:69.6 cm 反:2.55 cm 元幅:3.6 cm 先幅:2.52 cm 重ね:0.86 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は化粧に筋違。表裏に棒樋を鎺元下まで掻流。
地肌
小板目肌に板目交じり、よく詰んで精美な肌となり、線の細い地景が特に指裏に現れ、移が出る。
刃文
匂本位の小五の目乱を基調に所々大五の目と尖刃が交じり、小足が所作する。焼幅はやや広め、匂口は締り心で刃縁に小沸がつく。
鋩子
刃文が小模様に乱れ込み、先が小丸となってやや浅く返る。

鎌倉初期の太刀姿あるいは室町初期の姿か、意外に元先に差があり、鎌倉後期から吉野朝期の姿とは少し異なり豪壮というよりつ剛さのある太刀といった本作。それでも元幅は1寸2分弱もあります。これがあと2寸延びて2尺5寸の長さがあったら堂々たる豪刀だったでしょう。しかし定寸に近い分、厳つさがなくどこか温和な、手にした感触も負担なく馴染み、新刀期の太刀といった方が良いぐらいです。(俊秀刀匠、勝手な解釈をお許しください。)
刃文は小五の目乱を基調として、大きめの五の目が所々に交じって変化があり、なおかつ尖刃も交じって三種混合の光景が展開します。小五の目が連続する様は虎徹風の数珠刃の所作に似てなくもありません。尖刃は美濃風、大五の目は幅が狭く一文字風の蛙子丁子に近い形・・・結構多彩な匂口を見せています。これらが組み合わさって元先の稜線を作り出すわけですが、決して突拍子もない奇抜な所作があるわけでもなく、流麗な強弱となって極めて自然に映るのは俊秀刀匠の巧さが光るのか、それとも生まれ持った感性によるものなかか・・・これは皆さんの感じるままに受け取ってください。

地肌の鍛、こちらは巧さでしょう。なにせ本太刀が作られたのは紀元(皇紀)二千六百年、つまり昭和15年、太平洋戦争直前の時期です。風雲急を告げ物資も不足しがちなこの時期に、現在の現代刀に勝るとも劣らぬ精美な肌を鍛えていること自体評価すべきことです。軍刀とは一線を画す姿と出来。鎌倉より今に続く刀としての真髄を体現しているかのようで、戦前の刀という類には並べられません。ちなみに俊秀刀匠は昭和15年に、皇紀二千六百年を祝して全国の高名な神社のために多数の奉納刀を作られたようです。本太刀には奉納の銘が刻られていないので、その中の一振りではないと思いますが影打の一つだった可能性はあります。なにしろこの出来ですから不思議ではありません。それでなくとも戦前の刀工を代表する俊秀刀匠です。その力を見せつけられる一振といって良いでしょう。

ページトップ