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大野義光

太刀

倣真光於備前國義光作之 平成二十二年八月吉日

商品番号 : B-086-O-089

現代 「真光」写 白鞘

売約済

刃長:78.1 cm 反:2.95 cm 元幅:3.40 cm 先幅:2.17 cm 重ね:0.96 cm 目釘孔:3つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は勝手下。表裏に棒樋を中心尻の約一寸上まで掻流。
地肌
小板目肌良く詰んで極めて精美な肌を見せ、元から先まで乱移が現れる。
刃文
焼幅尋常に匂出来の小五の目丁子に小乱交じり。匂口は締り心、細かな丁子の足に葉が頻りに所作し、所々金筋・砂流風の所作が出る。
鋩子
乱込んで、先に金筋が年輪のようになり、浅く返る。

本太刀は銘に刻ってあるとおり、真光の写です。本歌は致道博物館所蔵の太刀・真光、国宝です。真光は長光の門人と言われており、作品は極めて希とされています。本阿弥光遜は三作(長光・景光・真長)の紹介の中で、真光の名を少し挙げていますが、実際の作風はやはり長光同様の特徴と見るべきなのでしょうね。当店としては、この国宝・真光はまだ未見ですが、手にとって経眼できるとは思えないので、公開されている写真で比べてみるしかありません。(なので、信憑性は程々だと思ってください。)

真光の時代は鎌倉後期ですから、豪壮な太刀姿で猪首切先・・・本刀も反の深い豪壮な太刀姿ですが、猪首切先とまでは言えないような気がします。これは大野刀匠の造込の特徴で耗具合を考慮して、できるだけ生姿を再現しようとする結果です。猪首切先は単に先が損傷して詰まった形状で、焼刃の狭さがその証拠といっても良いでしょう。それ以外の姿はほぼ同じ、当時の優雅な太刀姿を見事に再現しています(上手いです、やはりセンスでしょうか)。目釘孔も本歌と同じ個所に3つ。棒樋もきっちり同じ場所で掻流。姿で異なるのはほんの僅かに大きく作る点(損耗を考慮して生姿を再現する配慮)で、刃長で8mm、反で0.5mmほど本太刀が大きく作られています。重ねや身幅は不明ですが、おそらく僅かに上回ると思われます。
肝心の刃文ですが、小五の目丁子に小乱交じりで本歌同様見事な小丁子と葉が密に働きます。刃縁は直調の小乱に見えますが、この細かく繊細な匂口は本太刀の見所・・・きれいです。鋩子も見所の一つで、乱込んで浅く返るのですが、先の返の輪郭に沿って金筋風の所作が二重三重に年輪のごとく現れているのです。これは肌目が影響しているのかわかりませんが、おそらく肌目に沿った自然な所作だと思われます。ただ、本歌も鋩子に金筋があるようですから、大野刀匠がそれを意識して地肌を鍛えたのでしょう。写に関しては本歌を忠実に研究して具現化することにこだわる大野刀匠ですから、偶然の産物とするには却って無理があります。他には古備前の特徴でもある乱移もきっちりと現れ、本太刀は極めて完成度の高い写と評価できます。もちろん、地肌の風合いは少し異なり、本歌の板目に地景が交じった研減った肌に対し、本太刀は小板目の詰んだ精美な肌・・・そりゃそうですよね、何せ本太刀は現代の作。これが何百年も経って本歌のようになる・・・こればかりは時が経ってみないとわかりませんが・・・

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