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太刀・刀

和泉守藤原国貞

商品番号 : B-087-112

江戸初期 摂津 特別保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:76.1 cm 反:4.3 cm 元幅:3.13 cm 先幅:2.17 cm 重ね:0.68 cm 目釘孔:2つ

体配
本造、庵棟、中心は約二寸の磨上、鑢目は筋違。
地肌
板目肌良く詰み、少し肌立ち心に肌目に沿って冴えた地景が現れる。鎬地・棟寄りは柾心に流れる。
刃文
焼幅広く、小沸本位の五の目乱に丁子乱。匂口はふっくらとして深く、刃中に沸が広く付き、丸味を帯びた足が刃になじみ、所々葉、飛焼が所作する。
鋩子
直調に入ってやや崩れた小丸とり、少し浅く返る。

小沸出来の深い匂口が縦横に勝手気ままに広がる激しい刃文。丸味を帯びた足先はふわ〜と沸付いた刃中に広がって溶け込みます。所々、その足先が混もって繋がり横に伸びた雲のように見える所作もあります。葉に飛焼もあります。捉え所のない賑やかな乱刃ですが、叢や崩れはなく刃縁も冴えて見事に統制された景色は、さも親国貞らしい出来だなと思わされる一振です。
らしいと言えば大坂焼出風の焼出に始まり、焼幅も極めて広く総体に身幅の半分以上に・・・刃切も起こさず上手いものです。え?、焼出はどこですか?と、おっしゃりたいのは承知しています。本刀は体配の項でも書いた通り、約二寸の磨上げ姿です。中心にその痕跡が・・・中心の画像には、磨上げる前の生状態時における焼の跡がハッキリと確認できます。本刀のように磨上げた痕跡が確認できる作例は結構残されているものです。焼出や焼始がよくわからない作を見る際には、中心の刃方部分を確認することをおすすめします。同時に棟の上部から鎺元の痕跡も見ると、生姿の刀姿を想像することが容易になります。もし、本刀のように二〜三寸程度の磨上なのに、大磨上無銘などと紹介されている作をみかけたら、避けて通るのが無難かと・・・おっと、余計な話を。
で、本刀は約二尺の磨上ながら現刃長は二尺五寸強(76.1cm)もあります。ということは、生姿時の刃長は二尺七寸強(82cm)あったことになります。江戸最初期としてはかなり長めの体配です。手にすると、眼前にシャキッと立ちはだかるように反浅めのシャープで力強い姿が映ります(実際には反が4cm強もありますが、刃長が長いので反が浅く見えるようです)。まさに新刀特伝らしい印象にこの刃文とくれば、銘を見なくとも親国貞とわかる愛好家も多いのではないでしょうか。

しかし何故、磨上げたのでしょうか。考えられるのは、やはり単純に長すぎたのでしょうね。戦国期とは異なる江戸期とはいえ、当の所持者には合わなかったのでしょう。逆に考えれば、実用に供された刀であって、備え物とか飾り物ではなかったということであり、長さからして当然注文打の一振ということだと思われます。(今となってはちょっと惜しまれる磨上です。生姿で今に残っていたら・・・)
おっと、そうです。地肌を忘れるところでした。本刀の地肌は板目が少し肌立って肌目がよく見てとれます。詰んで澄んだ地肌に肌目に沿った地景が、鎬地と刃縁の狭い領域に現れていて、なかなかの見どころです。鎬地は柾目に流れているので、両者の肌目の違いがよくわかり、新刀特伝の鍛えの特徴が実感できる一振といえるでしょうか。みなさん、磨上の見本のような本刀、一度経眼しておくのもよいものです。商売抜きでぜひお越しください。

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