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太刀・刀

勢州桑名住三品義明斎広房作 多湖操応依求鍛之 嘉永七年九月日

商品番号 : B-111-275

江戸後期 伊勢 特別保存刀剣 白鞘

900,000円

刃長:70.1 cm 反:1.70 cm 重ね:0.75 cm 元幅:3.16 cm 先幅:2.09 cm 重さ:762 g 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は化粧に筋違。
地肌
小板目肌良く詰んで無地風の肌合いになる。鎬地は柾目になる。
刃文
焼幅の広い匂出来の丁子乱。やや箱がかった五の目に尖刃も交じる。匂口は締まり心にふっくらとし、丁子の足が長く所作し表裏揃う。
鋩子
丁子が乱れ込み、先が小丸となってやや浅く返る。。
勢州桑名住三品義明斎広房作 多湖操応依求鍛之 嘉永七年九月日

偽作の代表格、桑名打。室町期の備前物を贋作したとする桑名刀工の中でも、その筆頭格に挙げられるのが本刀の作者である三品義明斎広房です。事実と信憑性はさておき、良くも悪くも広く名の浸透した刀工であることには違いありません。贋作に手を染めるに至った経緯はともかく、愛刀家が望まぬ不遇の刀を生み出したことは遺憾です。同時に、愛刀家の目を誤魔化せるだけの技量を持っていたということで、純粋に彼の技量のみを評価することは果たして・・・可否の判断は愛刀家それぞれの主観によると言えるのかもしれません。まあ、甘く見れば贋作も悪意ある写物ですが、正真の写物との線引きはキッチリと判別したいものです。
紛らわしい話をよそにして本刀を見てみます。やや締った匂口に足長丁子が見事に咲き誇ります。足先は柔らかくフワーッと浮き出て、パターンらしい傾向はあるものの、元から切先まで崩れた個所もなく表裏ほぼ揃い気味に見事に焼き上げています。腰の開いた五の目ではありませんので、末備前特有の匂崩はありません。その所作は不要とばかりに丁子の足が結構激しく出て、斜めからかざした匂口は密で賑やか。う〜ん、やりますね。この刃文は末備前を真似たと疑う前に、そのノウハウが詰まった技量で広房ふさのオリジナリティを出してみた?と思わせる刃文です。それ以外にも備前とはちょっと異なる所作が見え隠れしています。肌立たず小板目を詰んで無地風になる肌合い(新々刀ですから当然と言えば当然ですね)、焼頭に尖刃が交じる点、匂出来(丁子の足は沸がついて小沸風)、そして鎬地はやや激しい柾目・・・これらは広房が元々関の系統だということを示しているのかもしれません。

状態は切先の松葉も残ってかなり良い健全度。新々刀ですから、これぐらい残っていて当然かもしれませんが、中心はまだ錆び行く途中を見ているようで、光る部分もよく見てとれ理想の斑模様になっています。その中心には年紀と共に難しい添銘が刻ってあります。「多湖操応依求鍛之」(どう読むのか、わかる方は教えてください。)・・・当店の幼稚な解釈だと、多湖氏からの注文銘のように思えるのですが。桑名には多湖という武家がいたと記述があり、それを根拠にすれば本刀は多湖氏からの注文打という推測ができます。ただ、広房には「以多度斎火鍛之」という添銘が刻られた類例があり、こちらは伊勢桑名の多度大社で作刀したもののようです。こうした添銘がどれ程あるかは不明ですが、贋作ではなく自身のオリジナルであることを示しているわけで、彼の素顔と力量を推し量る上でも貴重な一振と言えます。

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