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脇指 “うもれし”一振

脇指

藤原正行

商品番号 :C-017-125

江戸前期 豊後 特別保存刀剣 白鞘(本阿弥常政鞘書)

380,000円

刃長:36.8 cm 反り:0.70 cm 重ね:0.65 cm

体配
平造、庵棟、中心は生で孔三つ。鑢目は切り。指表に真中下まで護摩箸、指裏は腰樋と物打下まで添樋を彫る。どちらも鎺元で掻流。
地肌
小板目肌が流れ心となって鎺元辺は柾目風の肌が交じる。棟寄りは柾目が強く、物打より上は少し肌立つ。
刃文
焼幅やや狭く、匂出来で締り心の細直刃に小足が入る。物打より上は少し弯れた匂口となり、金筋が出る。
鋩子
三品風に弯れて小丸に返る。先は掃きかけてやや深目に返る。
備考
身幅がやや広め、平造の小脇指。なかなか良い姿をしています。寸延び短刀も含め、これぐらいの長さまでの平造の脇指は、先が俯き加減の状態のものが意外に多く、反がなく内反りになっているのも多く見かけます。写物以外でそんな状態のものを見かけたら、それは切先が破損したりして修復された姿、つまり研減りした姿です。本刀は、切先に向う棟角のラインがほぼ俯くことなく反り上がり、極めて良い健全さが確認できます。フクラも枯れているとまでは言えず、鋩子の返も深め、状態の良さが光ります。地金は肌立つ傾向にある髙田の作にあって、本刀の肌は小板目が詰んで肥前刀のような小糠肌に見える部分もあり、先の方にいたっては流れる板目に沿って足も広くなり金筋が現われて変化に富んだ匂口の所作が面白いところです。
このように健全さが見所の本刀ですが、実は二つの極がついています。方や日刀保の特別保存で「藤原正行(髙田)」。もう一つは鞘書で「筑前佐正行」と本阿弥常政氏(美術日本刀保存審査会)が極めています。日刀保は江戸前期の新刀髙田、常政氏は室町中期の筑前佐。さて困りました、どちらが正解なのでしょうか・・・当店は前者の新刀髙田ではないかと推測しています。理由はいたって単純・・・健全さの状態です。先に述べたように、いたって健全さを保っている本刀が江戸前期の作なら頷けますが、室町中期の古刀だとしたら、ここまでの状態で残されたでしょうか。おそらく切先は俯き、鋩子の返も浅くなっていたと想像されます。銘振も確認してみました。中原信夫氏の著書「室町期からの 大分県の刀」に正行の作が紹介されており、それらの銘に酷似しています。これだけでは少し心もとない論証ですが、それでも髙田とする極の可能性がとても高く思われます。できれば常政氏が筑前佐とした理由を知りたいものです。
それにしても良い状態の本作、地金しかり、匂口も良い出来です。髙田を侮るなかれ!

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