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脇指

脇指

兼若

商品番号 :C-018-133

江戸前期 加賀 特別保存刀剣 白鞘(寒山鞘書)・拵付

960,000円

刃長:56.5 cm 反り:0.60 cm 重ね:0.80 cm

体配
本造、庵棟、中心は生で孔一つ。鑢目はやや角度のある勝手下がり。
地肌
鎺元辺は板目が肌立ち、物打辺から上は小板目が流れ心になり、総体に柾目が交じる。棟寄りは柾目肌。
刃文
焼幅広く沸出来。中直刃に腰の開いた五の目とそれが連続した組合わせを、表裏揃って焼く。匂口ふっくらと刃縁は冴えて、五の目の刃寄りに金筋・砂流の所作が現れる。飛焼もある。
鋩子
直調に入り小丸が尋常に返る。
備考
腰の開いた五の目が並んだ丸味を帯びたM字状の乱が、直刃調の刃文に規則正しいぐらいの間隔で続く刃文は、独特というか見え方を意識して焼いたのでしょうか。見る側に極めて絵画的な印象を強く植え付けます。意図した刃文というより、“デザイン”したという表現が妥当かもしれません。三代・兼若とすれば、時代は確かに元禄前後。こうした作域が流行した時期には違いありません。直刃と五の目の組合わせた一連のパターンをここまで徹底されると、もう好みの問題ですね。
ユニークな刃文とは別に、出来の所作も見所が詰まっています。沸出来ながら匂口はふっくらとして深く、五の目の下部には金筋、砂流がよく働いています。そしてぽつぽつと数個の飛焼も見られます。地肌もまた見応えがあり、鎺元の上辺りはよく鍛えた板目がはっきりと出て、上に行くにしたがってよく詰んだ小板目に流れていき、総体に精美な肌を見せています。刃文といい地金といい総じてお洒落な一振とでも表現したくなる本刀です。姿は元禄頃ではなく寛文・延宝頃の姿に近く、かなりスマートでシャープに見えますが重ねは厚く刃に肉がつき、手にとると重量感があり剛い印象を受けます。
本刀は寒山氏が三代兼若・四郎右衛門と鞘書きしています。確かに刃文と造込からは、初代、二代ではなく三代以降に極めるしかありませんね。金筋・砂流がかかった丸いM字状の乱は前代の箱乱を受け継いだ所作かも・・・それはともかく本作は注文打なのか、それとも意欲的な挑戦作なのか判断の別れるところです。ただ、一尺九寸弱という長さを考えれば注文打と思われるのですが、果して・・・

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