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脇指 “うもれし”一振

脇指

氷心子平秀世 天保五年五月日

商品番号 :C-019-126

江戸後期 武蔵 特別保存刀剣 白鞘(木鎺)

400,000円

刃長:40.4 cm 反り:0.90 cm 重ね:0.62 cm

体配
長巻直造、庵棟、中心は生で孔一つ。鑢目は筋違に化粧。指表に「大山積大明神」の文字、指裏は梵字と護摩箸を鎺元まで掻流。
地肌
板目肌に小板目肌が交じり、少し肌立ちぎみに流れ心となって地景が出る。鎬地の棟寄りは柾目。
刃文
焼幅狭く匂出来、締り心の細直刃に小足が入る。
鋩子
細直刃がそのまま小丸となって、尖り気味にやや浅く返る。
備考
菖蒲造ではなく長巻直造の小脇指。元先にあまり差がなく少し細身でシャープな姿。鎬地は棟側を薄くした利刀造で、中心尻から切先までほぼ同じ調子の造のせいか一種独特の姿をしています。たぶん、少し強めの反があることで、長巻直の刀をそのまま小さくしたかのように見えるのでしょう。そこに「大山積大明神」の文字を彫り、裏には梵字(薬師・・・違っていたらすみません)と護摩箸が入り、さも御神刀のごときイメージを強く感じます。おまけに本刀の銘は太刀銘と言ってよいのか、指裏に刀工名が刻られていることからも何かしら作刀の意図を感じます。感じるというよりそう作った・・・特注品です。これが特注でなかったら、作者である秀世の信仰心が作らせたとしか思えません。どちらにせよ、ちょっと御神に絡んだ一振です。こう考えれば、本刀の刃文が細直刃なのも何となく頷ける気がするのですが。地肌は板目が肌立って古刀に見紛えるほどで、新々刀らしからぬ鍛え・・・ただ、肌立つと言っても荒れた肌ではなく、板目がきれいに現われ冴えた板目肌といった感じで、所々地景となる様も本刀の見所のひとつです。
本刀の作者・氷心子秀世は、新々刀の祖といわれる高名な水心子正秀の娘婿。正秀の門らしく備前伝の五の目丁子を得意としたようですが、本刀の鍛えや刃文もやはり鎌倉期における備前の写を試みたのでしょうか。古風な肌と上品さを感じる匂口、写だとすれば上手くまとめた一振です。

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