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脇指

脇指

固山備前介宗次作之 弘化三年正月日

商品番号 :C-024-092

江戸後期 武蔵 特別保存刀剣 白鞘

1,500,000円

刃長:50.4 cm 反り:1.2 cm 重ね:0.72 cm

体配
本造、庵棟、中心は生で孔は一つ、鑢目は化粧に筋違。
地肌
小板目に板目交じり、良く詰んで地景となり、棟寄りは柾心に流れる。乱移が鮮明に表れる。
刃文
焼幅少し狭く匂本位の小五の目乱。狭い間隔がランダムに続き丁子風となる。匂口はふっくらと深く、柔らかな足が所作し、表裏がほぼ揃う。
鋩子
小模様に乱れ混んで尖気味の小丸が浅く返る。
備考
無地風の地肌が多い新々刀の中にあって、板目の肌を精美に詰まれ地形となる本刀は、古刀の趣の良さを改めて感じさせてくれます。何というか、整然とした機能美も良いけれど、本刀は鉄の風景というか鍛錬の跡を実感させてくれる人間臭い魅力が伝わってきます。鎺元から切先まで鮮明に現れている乱移も本刀の魅力の一つで、地肌の風景に花を添えているかのようです。それもそのはず、本刀は応永備前の写物です。表裏揃った刃文、少し狭い焼幅、片手打風の姿、どれもが写物ということを示しています。そして深い匂出来に小五の目を焼き、柔らかな丁子の足が所作する刃文・・・匂口がギリギリと締まらないところが良いですね。締まり心の匂口が多い新々刀の中で、古刀に見紛うこの匂口は宗次の技量の高さを端的に表しています。
本刀が作られたのは弘化三年ですから、備前介を受領した翌年の作。ノリノリの時期でしょうか。備前物を写したというより追求した宗次ですから、見事な乱移は意図的に出した所作。匂口もそうですが、この乱移が本刀の全てを物語っていると言って良いでしょう。そのための地肌の鍛であり、そのための造込、総体に自ら納得のいく一振となったはずです。宗次の写物は古い備前物に随分化けたとよく言われますが、これらの所作を目にすれば納得する話です。本刀は宗次の中では少ない脇指ということもあり、良からぬ目をくぐり抜けたことに感謝すべきですね。

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