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脇指

脇指

一 肥前國出羽守行廣 以阿蘭陀鍛作

商品番号 : C-046-209

江戸前期 肥前 特別保存刀剣 白鞘(本阿弥日州鞘書)

1,000,000円

刃長:54.4 cm 反:1.6 cm 元幅:3.22 cm 先幅:2.32 cm 重ね:0.67 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は筋違。
地肌
小板目肌をよく詰み無地風の肌合いも交じる。鎬地は柾心で指表の一部と指裏の鎺元上に地形が現れ、移も出る。
刃文
焼幅広く、沸出来の五の目丁子乱に尖刃が交じる。匂口はふっくらと深く帯状となり、飛焼がかかり、金筋、砂流が所作する。
鋩子
直調に入り掃掛けて、やや深く返る。

間隔が狭い五の目から深く沸付いた丁子の足が伸びる様は、肥前刀にはあまり見られない匂口です。どちらかと言えば江戸石堂派の丁子に近い感じがしますが、深く所作するあたりは播磨大掾忠國の足長丁子に似ているとも言えます。ここは間をとって備前と肥前の作域が混じった丁子というところで落着。ただ、匂口が帯状なのは肥前等の脇指であることを認識させてくれます。五の目の頭には尖刃が所々に交じるあたりは、行廣らしさが出ているともいえ、ポツポツと現れている飛焼も脇肥前の奔放な面白さを見ている気がします。(作者の行廣は初代河内大掾正廣の弟。播磨大掾忠國も含め脇肥前を代表する刀工の一人です。)
こういった特徴なり所作の見所は行廣の刀歴にあるようで、中心に「一」と刻っていることからもわかる通り、備前一文字派の刀工から備前伝を習得しているのです。本脇指に移が現れているのはそれで納得。その術を持って肥前の特徴である帯状の匂口に足長丁子が混ざり合って、本脇指の刃文となっていると考えれば、なるほどなるほど・・・では中心に刻った「以阿蘭陀鍛作」はというと、材料である当時の鉄事情(南蛮鉄)を先駆的に捉えて取り組んだ作であり、脇肥前ならではの立ち位置を逆手に取った成果ではないかと・・・これが本家の忠広・忠吉だったらすんなりと作ることなど出来なかったはずです。そいう意味からは、行廣の生き残るための戦略であり、主張であり、あるいは意地なのかもしれません。

因みに、本脇指の匂口が深いのはその南蛮鉄の鉄質によるものかもしれません(当てずっぽうのただの推論です)。まるで丁子の足も含めた刃文(沸)全体が匂口のラインとなっていると言ってよく、一般的には浮き出た匂口の線から丁子の足が刃先向かって沸として出るものですが、本脇指は匂口と丁子の沸が一体化して見えます。これとよく似た所作がやはり脇肥前の播磨大掾忠國の作にあり、よく夏の積乱雲の如くと例えられます。もしかして、忠國も南蛮鉄で積乱雲の匂口を出していたのかも・・・

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