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大野義光

共柄小刀

於越後國義光作 彫同作

商品番号 :D-012-O-206

現代 東京 無鑑査刀匠 白鞘

売約済

刃長:14.8 cm 反:なし 元幅:1.85 cm 先幅:1.25 cm 重ね:0.36 cm

体配
共柄造、片丸棟、鑢目は切。
地肌
総体に柾目心の小板目肌、良く詰んで無地風となる。
刃文
匂出来、腰の開いた五の目乱。匂口はふっくらと深く、丁子風の足が入り金筋風の所作が出る。
鋩子
直調に入り、小丸となって尋常に返る。

大野刀匠の共柄小刀です。珍しいですね。大野刀匠の小柄の穂はたまに見かけますが、共柄となると当店としてはこれが初見です。姿は一般的な穂の形状ですが、そのサイズは二周り、いや、もっと大型で、無登録での所持が可能な15cmギリギリの大きさ・・・なので身幅も幅広で重ねも厚く、ぺらぺらの小刀穂とは趣と存在感が違います。短刀の部類に入れても良さそうな作りですが、そうなると姿の形状はどう表現すれば・・・片切刄小刀造? 棟も半分丸く作り込んでいるので上記では片丸棟としましたが、妥当かどうか?(呼名なんてどうでもよいことに固着する当店、子供じみていますね。)
刃文は腰の開いた五の目乱。長さが短いので刃文のラインはあっという間に切先の返に繋がります。しかし、それはそれで狭いキャンパスの中で刀と同じように描くセンスは見事です。それも大野刀匠らしさを損なわず表現するあたりはさすがで、匂口も彼独特の深く柔らかな沸が付き、そこに金筋風の所作がかかって刃中に見所を演出しています。小刀だからと言って手加減はしないようです(大野刀匠としては当たり前のことだと、皆さんに叱られそうです)。こだわりは刀身だけではありません。錆付された柄部分も自身彫による文様が彫られています。描いたのは麻の葉でしょうか、幾何学的な文様を斜めに連ねて彫り上げています。その一つだけに金象嵌の色絵(布目象嵌風の所作)を施し、目貫のようなポイントになっているあたりがユニークです。そして小口側に猪目と蕨手を毛彫し、戸尻側には大きな猪目透を施しています。刀身も共柄もすべて大野刀匠の手になる作です。
ちなみにこの共柄小刀は、大野刀匠自身がしたためていた代物。それを恐縮ながらお譲りいただきました(無理は言っておりません、無理は・・・笑顔で快く授けてくださいました。いや、本当です・・・皆さん、当店を疑っていませんか?)。彼は、このような小道具・小物を作るのが大好きだと言っており、鐔や目貫、鎺の彫をはじめ、いろんな類を作られています。目にしたどれもが魅惑の数々・・・そのうちにまた、珍しい作をご紹介できるよう心がけています。

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