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縁頭

縁頭

鉄線花図(無銘・古美濃)

商品番号 : FG-007

江戸前期 特別保存刀装具 『金工美濃彫』(小窪健一著)所載品 桐箱入

190,000円

縁/赤銅地 鋤出深彫 金色絵 銀露象嵌色絵  頭/赤銅地 鋤出深彫 金色絵 銀露象嵌色絵

縁/縦:3.85 cm  横:2.22 cm  高さ:0.98 cm
頭/縦:3.63 cm  横:1.67 cm  高さ:0.72 cm
本縁頭はかなりの上手物。ただしこの評価は、出来や巧さというより、時代に照らし合わせての造込や所作に関してのことです。まずは地彫であるという事実を評価の根底に置きたくなります。この複雑な紋が臘付ではなく“彫”であり、おまけに鋤出彫であることは一定の評価に値します。美濃だから当たり前だろと言われそうですが、刀装具において美濃も含め鑞付据紋の如何に多いことか・・・(その事実を目にすれば驚かれると思います)。そういう中で、本作の鋤出彫はかなり丁寧な彫り口を見せています。もちろん、鏨痕も随所に残されて、あ〜”手彫り“だなと実感させてくれるところに好感が持てます。私見ですが一番の見所は、裏行の所作でしょうか。ちょうど、花部の裏側に球状の打出痕がハッキリと確認出来、金工の作業風景を間近に想像できそうです。全体に強い圧出による造形が裏行にみられ、まるで目貫の裏行を見ているかのようです。そしてもう一つ、縁の鑞付の処理。特に腰板の表面の合目・・・そこには葉が彫られているのですが、合わせた線がまったくわかりません。天井金の合目はハッキリと鑞付の痕がわかるのに、目に触れる要所はキッチリと仕事をしています。恐れ入りました。まるで一体成形か、鋳造したかのような造込に仕上げています。
肝心の時代は江戸初期と推測しています。鑑定書では古美濃となっていますが、地板が厚目で石目地風、ウットリや袋着ではなく江戸期以降によく見られる色絵(おそらく銀臘)であることを総体にみれば、古美濃とされる桃山期以前には極められないと考えています。福士繁雄氏も『刀剣美術/刀装・刀装具初学教室(25)』の中で本縁頭を取り上げ、「〜江戸の初期ぐらいはあると思います。・・・」と述べています。
その時代に関連して、本作には一つ疑問があります。本作は果たして「対の縁頭か?」ということです。低い高さ(背)、左右異なる大きさの鵐目孔(後補の可能性がある)、それらの形状からみれば、本作は元々「縁と頭」ではなく「縁と鐺」として作られたとみるのが自然のような気がします(あくまで推測です)。じゃ〜頭はというと、おそらく角製。縁の天井金も鑞付の痕跡から見て後補と思われ、その補修の際に縁頭として変身を遂げた・・・そうみれば、本作は縁頭という概念がなかった時代(江戸初期以前)の作となり整合性が取れます。
今に至るプロセスや時代はともかく、本作は表の彫の所作と風合い、そして裏行の面白さを同時に楽しめる稀な縁頭と言えることだけは確かです。

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