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縁頭・拵

縁頭

獅子に牡丹図(無銘)

商品番号 : FG-010

江戸中期 桐箱入

60,000円

縁/赤銅七子地 高彫(鑞付据紋)  頭/赤銅七子地 高彫(鑞付据紋)

縁/縦:3.95 cm  横:2.18(紋含:2.31)cm  高さ:0.92 cm
頭/縦:3.71(紋含:3.77)cm  横:1.98 cm  高さ:1.18(紋含)cm

真っ黒な無赤銅の縁頭。縁は少しおとなしくまとめた枝牡丹。花のデザインも柔らかくふっくら、数物によくある尖った感じもなく中々丁寧な彫口を見せています。頭は縁の牡丹花からの流れを受けて、獅子が身をくねらせて天辺に君臨する構図を、極めて立体的に、そして大胆に彫りあげています。二次元ではなく三次元の獅子が乗っかってるようで、頭の形状はデコボコ状態で迫力満点です。じゃー獅子はそれなりにリアリティがあるのかと思えば、そうではなく結構古臭さを感じる顔つきで、古金工あたりの小柄によく似た彫口・・・その顔には愛嬌さえ伺えます。古い小道具な好きな当店にとっては親近感が湧いてきそうな印象を醸し出しています。
ここまで凹凸があるからには肉彫ではないなと思えば、案の定、鑞付据紋の高彫。正確には七子地に紋を鑞付据紋にして毛彫を加えた造です。それでも裏からの打ち出しは強く、見所が多くあります。特に紋が鑞付されてから圧出したらしく、2ヶ所ほど小さな穴がみとめられます。いいですね、このこだわり。なるべく薄くしようとしたのか、それとも表の形状を意識して打ち出しすぎたのか、金工の攻めの所作に敬服です。この場合は失敗だったのかもしれませんが、こういう所作をけなしては愛好家の名折れ、素直に金工の姿勢を讃えたいものです。 本作の製作時代は江戸中期頃と当店は見ています。確かに立体感ある頭は、江戸後期によく見られる造。しかし画題である獅子の彫口とデザイン、そしてどちらかといえば腰の低い縁の形状と赤銅地の色合いも合わせ、縁頭としてセットで作られ始めた江戸中期はあるのではないかと。ものすごく無難に極めるなら江戸後期ですが・・・それでも画題のデザインが匂わせる古風さが、本作はそれなりに古いと言っている気がするのです。流派はまったく見当がつきません(流派と個銘極めは当店の弱点です)。できれば、古金工としたいところですが、なにぶん対の縁頭ですから無理でしょう。それに獅子の彫の形状が大胆すぎます。皆さんはどこへ持って行きますか・・・

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