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笄
束熨斗図(無銘)
商品番号 : KG-014-SS
江戸中期 桐箱入
30,000円
赤銅魚子地 据紋 金色絵
長さ:20.35 cm 幅:1.18 cm 高さ:0.40 cm
薄くほっそりとした全体の形状、肉置から本体は江戸後期の作と推測される笄です。しかし、この頃の数物に多い鑞付した据紋の地板嵌込の造りとは違って、魚子を打った地板に高彫した束熨斗(たばのし)の図をリベットで据え紋にしています。この据紋ですが、実は裏から括付けたものではなく、紋の上からリベット留めにしてある所作が確認出来ます。この手の造込みは意外に少なく、滅多に目にすることがありません。そういった意味では希少性と資料的価値が高い作品なのですが、時代が下った造込みであることもまた否めません。ただ、据紋にしたことを考慮するとこの紋自体の製作年代は別に考える必要があります。彫の高さ、金色絵からは江戸中期頃とみてよいでしょう。しかし、何故に上からのリベット留めなのでしょうか。江戸期以降は鑞付による据紋が当り前の時代。わざわざ面倒で手間のかかるリベット留めを採用する理由が思いつきません。江戸最初期頃までなら、紋の流用を考えるとありうるのですが・・・ともかく謎に満ちた笄です。