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笄

桐紋三双図(無銘・古金工)

商品番号 : KG-025

江戸初期 保存刀装具 『古笄』(池田末松・三宅輝義著)所載品 桐箱入

150,000円

赤銅魚子地 高彫 蕨手金

長さ:21.2 cm  幅:1.22 cm  高さ:0.41 cm
小柄や笄の定番ともいえる桐紋の三双図。本笄の製作年代は、総体的に肉置が薄く、定寸であることも考えれば、江戸中期頃以降のそんなに古くはない作に見えます。加えて蕨手も明らかに後世の所作、確信はありませんが象嵌ではなく色絵の可能性もあります。しかし鑑定書では古金工と極めています。おそらく、耳掻きの大きさと急峻な立上がりといった形状、地板が嵌込方式ではなく本体の肉置からの高彫、そして金蕨手の所作から古金工としたのでしょう。蕨手は別として当店も同じ考えです。
上手の作ですが注文作というだけで決して最高級の作とはいえず、桐紋の配置間隔が少しズレているところにもそれが顕われているかに思えます。ただ、桐紋の彫・鏨の所作は後藤の掟に背いていません。そこを極の要点にしたのか、池田末松氏と三宅輝義氏は本作を宗乗・室町後期の作としています。実は本作、『古笄』に載っているのです。そこでは、「桐紋の間隔を故意に不均一に彫り上げた作柄は、作者の構図上の意図があったと思われる。」と解説しています。間隔の不均一な配置が意図的かどうかは判断の別れるところ。しかし、桐紋の鏨の所作は一歩譲ったとしても、体配や蕨手、木瓜の形状などは、果して宗乗なのでしょうか? 本作を後藤家に持っていくのなら、もっと後代の光乗・徳乗・栄乗あたりにすれば是認出来るのですが・・・

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