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笄

牛車図(無銘・後藤・桃山)

商品番号 : KG-031

桃山期 保存刀装具 桐箱入

110,000円

赤銅七子地 高彫(鑞付据紋) 金銀色絵 耳金 棹金削継

長さ:22.2 cm  幅:1.34 cm  高さ:0.60 cm
金と赤銅の黒が鮮やかな対比を見せる牛車を画題とした笄です。かなり厚手の金板を肩から耳までの上部と棹の途中から斜目に削継しています。金板は鑞付か焼付だと思われ、かなり贅沢な造で、縦に縁目の筋をつけ、その間を細かな鑢目を斜めにかけ、ギラつく金の色を押さえる工夫が見てとれます。押さえたといっても金板の表面は金襴緞子に近い風合いで、遊び心というより優雅なイメージを出したかったのかもしれません。本体の地金の赤銅は、少し青みがかった黒、額の内は漆黒の黒。という事は地板を嵌め込んだ造で、案の定、牛と牛車の紋は鑞付の据紋です。その紋ですがどうやら赤銅の地金ではなく、素銅の地金に金・銀・赤銅の色絵を施してあるようで、ちょっと珍しい造込です。茶色に見える個所は、色絵が少し薄れたか、素銅の地を活かした所作です。彫はすばらしく細部まで表現していて、七子地も細かく整然と穿たれ、かなりの巧者の上手作と言えます。
本笄が作られた時代は、地金、造込、色絵の手法からみて江戸前期、中期まで下るかもしれません。鑑定書にはありがたく後藤・桃山との記載がありますが、ちょっと無理があるようです。彫の所作、紋のデザイン等から後藤は頷けるとして、桃山は・・・。加賀後藤なら納得ですが江戸中期となり、これだけの作に銘が無いことに疑問を持ったのでしょうか。確かに長さも22cm強あり、定寸より長いのですが、それだけでは根拠としてあまりにも弱い気がします。まさか紋が高いからなんてことはないですよね。まあ時代は置いといて、健全さや彫にこだわる愛好家の方には一考する価値のある笄かもしれません。

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