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笄

栗図(無銘・古金工)

商品番号 : KG-046

桃山期 保存刀装具 桐箱入

売約済

山銅七子地 高彫 金色絵

長さ:22.4 cm  幅:1.39 cm  高さ:0.56 cm
本作はよくある時代笄の一つ。時代笄だからといって一括りに数物扱いするのはいけません。体配、画題、彫口、色絵、それぞれに見所を楽しんでほしいと思います。じゃあ本笄はというと・・・ふっくらと盛り上がった豊かな肉置、定番です。彩色は普通に見られる金色絵、袋着なら時代も上がるしちょっと残念(却って鍍金の方が古く極められるのに、こっちも残念)。この手の笄にしては長さが少し短め、過去に穂先が欠損したのかも。七子地は意外や細かい方でしかも丁寧、粗く不整いな時代笄が多いことを考慮すれば上出来です。肉彫なので紋際の七子の処理もよくわかり、紋に付いている彫跡(鑚跡)もはっきりと認識でき、上手作にはない素朴な味わいを楽しめます。どうです、見方によっては同じ時代笄でも一本一本違った所作や風合いを堪能できます(単純に粗探しと変わらない気もしますが・・・)。少し気になるのが耳部の曲がりです。横から見ると上に向かってググッと湾曲しています。笄櫃から取りやすくするためにわざと曲げたのは理解できます。こんな風に曲げられた笄をよく見かけますから、珍しくもありません。ただ、曲げられた首の裏側を見ていたら、鏨で削った面を見つけました。頭頂部には金槌で叩いたような痕も・・・もしかしてこの曲がった耳は、後補ではなく最初から曲げられていたのかもしれません。あり得ます。もちろん、購入者が買う際に曲げるように支持した可能性もあります。やっぱり後補かな・・・金槌で曲げた後で変形した裏側を整えるために鏨で削ったのか、その方が整合性がとれます、か。なんか余計な詮索をし過ぎた気がします(振り回してしまい申し訳ございません)。気を取り直して・・・画題はよく見る栗ですが、もはや手擦で栗には見えません。まるで桃に似た果実です。両端のツブツブの毬栗なんか、野苺? パイン? 小道具の知らない人に見せると面白でしょうね。一発で栗だと言い当てれるひとはたぶんいないでしょう。ちなみに、栗の画題につきものの栗鼠も二匹ちゃんと登場しています。・・・なんという支離滅裂な解説、失礼しました。

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