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笄

茄子図(無銘・古後藤)

商品番号 : KG-048

桃山期 特別保存刀装具 桐箱入

売約済

赤銅七子地 高彫(鑞付据紋) 金袋着色絵

長さ:22.3 cm  幅:1.32 cm  高さ:0.48 cm

茄子を画題にした小道具は意外に多く、特に目貫や鐔に多く見られます。鐔以外は比較的優品揃いで時代も上がるものが目立ち、なぜか惹き寄せられてしまうのはなぜでしょうか。好みの範囲とはいえ当店だけが思っていることなのか・・・当店は思うのです。その丸みを帯びた実の形状が惑わすのだと。色絵の場所も分けやすく形良く作りやすい画題なのでしょう。(本笄に関係ないことをズラズラと・・・) 本笄の画題のデザインは、他の作とあまり変わりありあせん。まあ、小柄・笄の構図は表現するスペースが横長のパノラマなので同じような展開になるのは普遍的です。色絵の着色も実だけに施すというい至って普通。現物の茄子の実は黒ですから、葉っぱを金にして実を黒というのも見かけますが、本笄では豪華になり過ぎるのをきらったのか、実だけが金。せめて蔕と実を色分けするぐらいの手間をかけて欲しかったなと(本笄に対し失礼な感想を抱いてしまいます)。・・・しかし、だからこそ、古く見えるのは否定しません。これをデザイン目線であれこれ論じるのは筋違い。素朴さや風合いといった雅味を評すべき作なのです。
造は古笄といわれる類で江戸前期以降の作と異なり、一廻り大きな姿。赤銅の地金は潤いのある黒、金の蕨手、肩はなだらかで優雅さがあり、色絵は金の袋着、魅力的です。ただ、肉置が豊かとはいえず少し平ったい造なので、江戸期に差し掛かる頃、桃山期の終わり頃の作と思われます。当時としてはかなりの高級品。金板もよく残り至って健全な紋が伝来の良さを物語る一品です。

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