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笄

自在鉤図(無銘)

商品番号 : KG-058

桃山期 桐箱入

売約済

山銅七子地 高彫

長さ:22.7 cm  幅:1.38 cm  高さ:0.43 cm  紋部高さ(最大):0.62 cm

肉置豊かな時代笄、緩やかながらも厚く盛り上がった紋を頂点にした横からの稜線は、それ自体が古風な味わいを描きます。山銅の色合いは、さも時代をくぐり抜けてきた証のような、くすんだ焦茶色。画題は自在鉤・・・この色合いがピッタリと嵌まり過ぎる画題です。自在鉤ですから、かなり高齢な方であれば、煤で燻された風合いを思い起こされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。まさに、本笄のような焦茶色をしています。
その何とも古風な道具を画題にするとは・・・と思うのは近代の視点です。室町・桃山期の当時、この自在鉤は最先端の道具であり、貴重な鉄も使用した高級品だったことは想像するに易しです。それを画題とするのは不思議ではありません。じゃー、意味合いは・・・火事場(戦)で自在に動ける? 役に立つ? 支えられる?・・・浅はかながらも、その機能性を重宝した願掛けだと思うのですが(的外れですか?)。それが正解としても、本笄の画題の中にあまり関係のなさそうなアイテムがデザインされています。自在鉤の周りに配置された扇のような形状、何でしょうか? 草のような彫もあります。左端にある形状からすると、やなり扇に見えるのですが、何で自在鉤に扇なんでしょうか。まさか扇を「奥義」という意味に見立てたとか?・・・戦場で自在に駆け回る戦法(奥義)、それとも戦場をあっぱれに駆け回る・・・(正解なら当店を褒めてください。)
その画題の彫口は結構上手で、特に自在鉤は細工の個所も丁寧に仕上げています。ただ、七子地はこの手の笄にありがちな不整いな粒・・・らしいといえばそれまでですが、もう少し気を使って彫ってくられたらと思うのはみなさん同感でしょう。

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