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笄

駿馬図(無銘)

商品番号 : KG-059

江戸初期 桐箱入

90,000円

赤銅七子地 高彫(鑞付据紋) 蕨手金

長さ:21.5 cm  幅:1.27 cm  高さ:0.35 cm  紋部高さ(最大):0.50 cm

定寸よりわずかに長め、厚みは薄い方で、江戸初期に見られる上手作の体配をしています、スマートで上品な印象に加え、どこか優しいというか柔らかみのあるフォルムをしている本笄。肩もそうですが外形全体が丸みを帯びた印象で、「角が取れて丸くなった」とでも表現したくなるフォルムをしているようです。おそらく経年による擦れが程よい優しさを醸し出したのでしょう。言い換えれば、主人に連れ添い仕えてきた証なのかもしれません。とはいえ、壊れているわけでもなく、これはこれで愛蔵すべき価値を身につけた作とも言えます。
地金は漆黒の色合いをみせ、かなり上質の素材。額に蒔かれた七子地も細かく整然としており上手です。地板嵌込方式ではなく額内は肉彫で、小縁の際には丸い七子粒が変形も半欠けもなく綺麗に並んで蒔かれています。紋も中央に据えられ、大きすぎず小さすぎず、掟通りの所作・・・おそらく後藤家の作でしょう。ただ、この駿馬の紋は、高肉彫ではなく鑞付の据紋です。最初に述べた体配と、この造込の所作からは、時代を室町後期や桃山期にはあげられません。やはり江戸最初期が妥当なところです。(審査に出せば、古後藤につく可能性は半々? いえ、かなりの高確率で古後藤になるかもしれません・・・信用しないでください・・・あくまで当店の視点です)
そしてこの紋には、本来金の色絵が施されていたようです。鬣と尾、そして足首にも金色絵の残片が確認できます。真黒な無赤銅のフォーマルな作ではなく、控えめな遊び用の作だったのかも・・・反面、金蕨手は後補の可能性が高いと思います。蕨手を描くスペースを考えると、少し狭すぎて窮屈な印象を受けるのと、蕨手の金筋がやはり太すぎる感が・・・まあ、両方とも金が残っていたならプチ・ゴージャス感はでると思いますが、現在の姿はこなれた感じで当店としては高評価です。

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