長さ：9.80 cm　　幅：1.48 cm　　高さ：0.74 cm
法螺貝に金ではなく銀色絵を施し、細い紐に金色絵を使ったあたりに作者の粋な意匠が伝わる一品です。出来上がった当時は、黒い赤銅に銀の法螺貝と金の紐、さぞかし洒落た姿が想像できます。彫られた法螺貝をよく観察すると、道具として加工・装飾された状態を表しているようです。ん～当り前ですか、海から揚がった素の貝では、画題とするにはあまり意味を持たないですね。漁師ならともかく、小柄を使うのは武士ですから。てことは、この持主は戦時に合図や号令、伝令、勝鬨を上げる役目を負った武将ということになりませんか。かなり飛躍した想像ですが、こんな風に都合のよい辻褄合わせをして楽しむのも小道具愛好家の特権です。おっと、脇道に逸れましたが、法螺貝に施された丸いツブツブの彫が巧で目を引きます。地板に蒔かれた七子もまた上手く、デザイン総体に高い技をみることが出来ます。横から見ると平たいですが、上から見れば立体的に写り、音を鳴らす穴が奥まで続いているかのように見せるあたりは、優れた金工の成せる技です。