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小柄

小柄

梅松図(無銘)

商品番号 :KZ-005-SS

桃山期 桐箱入

80,000円

山銅魚子地 高彫

長さ:21.4 cm  幅:1.40 cm  高さ:0.66 cm
どう言ったら良いのでしょう。笄と小柄の穂が一緒になった「共笄?」・・・いえ、やっぱり共柄と見るべきでしょう。元々、笄だったものを共柄にするという暴挙に出た理由を知りたいものです。おそらく加工したのは江戸前期。それまで必要でなかった小柄が時代が変わり突然必要になった時、下級武士が手許にあった笄を流用した。こんな感じでしょうか。紋を流用する笄直しの小柄ならよくあるケースですが、笄の上半身を残したままの共柄を見たのは初めてです。よほど困窮していた武士だったのでしょうか。それともこうしたことが当り前の時代だったと考えるべきでしょうか。しかし、面白いのは加工方法です。なにせ笄の竿を刃にするのですから、そのまま削っては刃の面積が足りません。一度、平たく叩き延ばし刃の形に整えたのでしょう。でなければ説明がつきません・・・柄と穂のつなぎ目が無いのですから。もちろん山銅なので焼き入れも無しです。作り直した腕も褒められるものではなく、金工の仕事とは思えません。持主の自作だと考えられます。ただ、梅松の紋は良い彫です。こんもりと高い肉置からの彫といい、元の姿はなかなか見応えのある古笄だったことでしょう。さて、これを審査に出したらどんな極がつくのでしょうか。その結果も知りたくなる作です。

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