長さ：9.61 cm　　幅：1.41 cm　　高さ：0.80 cm
赤銅の黒色が冴える本作。新ためて上質の赤銅の良さを実感させてくれます。そこへ描写豊かな画題がマッチすると、ダンディです。栄乗の作となっていますから江戸最初期と古く、戸口は裏板が少し剥がれて隙間が見えています。ただ、この本体は後世（やはり江戸初期頃か）の作。解りにくいかもしれませんが小柄から小柄直し、もしくは笄直し。魚子のズレが紋の両端に確認できます。ともあれ総体に、古雅というより斬新という印象を受けるデザインです。注文の上作はやはり受け継がれるものなのです。この時期迄の作は、残っているものに作り直された逸品が多いのも頷けます。この作の見所は細かな所作ではなく、俯瞰した構図を見た時の直感的な印象だと思うのですが、いかがでしょうか。鑑賞する古美術というより使いたくなる逸品です。