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小柄

小柄

波に貝尽図(無銘)

商品番号 :KZ-019

江戸初期 桐箱入

70,000円

山銅波彫地 高彫 金銀素銅色絵

長さ:9.88 cm  幅:1.50 cm  高さ:0.68 cm
少し幅広の本作は、片手巻の造。二枚合せの小柄と違って一枚の板から作り出した手間暇かかる造で、江戸中期以降の型取りした数物ではありません。時代もそれだけ古く江戸初期以前の作と思われますが、画題のモチーフと盛上がった彫、色絵の所作を考慮すれば桃山期も終りの頃の作とも思えます。荒々しい波を力強く彫上げ生き物に三種の色絵を施して豊かな幸を描いているようですが、作者の意図した主役は、貝ではなく波のうねる様。その波はツルリとしていますが、それは時代の経た小道具の証です。よく見ると細い線模様で覆われていて、長年の擦れが窺えます。
この彫、先ほどから高彫と書いてきましたが、実は裏から圧出した容彫で、そこへ巧みな彫刻を施した造なのです。戸口からその所作が確認できます。裏面にも興味深い跡が残されていて、時雨鑢か猫掻鑢なのか曖昧ですが、鑢目らしき線が全体に見られます。これが鑢目だとすると裏面は哺金だった可能性が出てきます。でも現在は山銅色ですから、後世に金を剥がされ色揚げをし直されたと考えたくなります。金や銀・素銅の色絵も後世の所作? そうではないにしろ、最初は山銅地に色絵、裏哺金の造だったと当店は想像します。そして幅広の大きさを考えれば製作期はもう少し上るかもしれません。しかし、赤銅地なら納得しますが山銅の小柄に哺金を施すでしょうか? いや、注文作なら有りかもしれません。

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