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小柄

小柄

竜田筏図(無銘・古金工)

商品番号 :KZ-021

室町後期 保存刀装具 桐箱入

320,000円

赤銅波彫地 高彫 金袋着 金銀露象嵌

長さ:9.88 cm  幅:1.50 cm  高さ:0.65 cm
この赤銅地の黒は上質です。そこへ、やはり上質の金の筏と紅葉が効きます。華やかです。構図の上手いところは両者に絡んでいる金の紐。これが全体の構図をまとめて一つの絵として見る者に印象づけています。流れるような曲線は優雅であり、波彫地との相乗効果で全ての要素が統一されたデザインとして完成されているのでしょう。袖との境目も木瓜形にしているあたりも見た目を狙ったものでしょう。当時の武士が風流な歌会の席でこれを着用していたら、皆の目にはさも絵になる小道具と映ったことでしょう。
室町後期という時代の割には擦れが少なく波彫地もハッキリと残っていて、金の袋着も紐の一部を除いて剥がれはほとんどありません。笄から小柄に直した理由は判りませんが、極めて状態の良い作品です。背が低い造なので平坦な彫なのですが、それを感じさせず、逆に出しゃばらず上品な印象です。造は地彫した高彫かと思えば裏から圧出した容彫が確認でき、紋自体は室町後期の作だと推測しています。地板の薄さも考えると、笄から小柄に直したのは桃山か下っても江戸最初期だろうとみており、文化の継承を感じさせる優品です。

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