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小柄

小柄

猿廻し図(無銘・古後藤)

商品番号 :KZ-022

江戸前期 保存刀装具 桐箱入

80,000円

赤銅魚子地 高彫 金銀袋着

長さ:9.57 cm  幅:1.37 cm  高さ:0.63 cm
額一杯に絵柄が展開された古後藤極の小柄。魚子が擦れて彫の上面も少し減って人々の顔の表情が曖昧になっていますが、これも時代の証。その割には本体に目立った疵はありません。江戸前期としては良い状態です。造は嵌め込み方式で、裏から圧出した高彫の地板を本体に嵌め込んでいます。
本作の見所は風物詩としての雰囲気でしょうか。二人の見物師と二匹の猿、それを見物する老若男女。当時の風俗がよく伝わってきます。中々愛嬌のあるモチーフですが、人物が登場する風物詩を画題にした刀装具は、その殆んどが江戸中期以降の作。よくて江戸前期・・・鑑定書では古後藤になっていますが、江戸最初期ではなく当店は江戸前期とみています。そうなると、金の袋着(鑑定書では金銀うっとり色絵と記載)にも疑問がつきます。よく観察すると金の袋着ではなく鑞付色絵のようにもみえます。銀は明らかに色絵です。金板に厚みがあるので、剥がれ方がウットリ色絵に見えたのでしょう。断定はできませんが、袋着ではなく鑞付色絵だと思われます。となると、時代を下げざるを得ません。画題、色絵の手法からみて、製作年代は江戸前期が妥当だと推測します。時代はさておいて配色の所作は面白く、服の柄を細かい所作で描いており一人一人異なっています。猿が着ている服だけ花柄にしていることも面白く、後ろに控える猿の姿がまた興味深くて、主人との信頼感さえ漂ってきます。それにひきかえ、右端の男女は余興でも見ていくかぐらいの緩さがあり、見る側、演じる側の光景を端的に表した構図に、この作者の上手さがでている一品です。後藤の中にも独創的で自由な発想の金工がいるという事でしょうか。

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