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小柄

小柄

木瓜紋三双図笄文(無銘・古後藤)

商品番号 :KZ-024-SS

室町後期 特別保存刀装具 桐箱入

450,000円

赤銅魚子地 高彫 金色絵 笄嵌入

長さ:9.64 cm  幅:1.47 cm  高さ:0.55 cm
皆さん、このような小柄を見たことがありますか? そうです、小柄の中に笄の上半分が嵌っている極めて珍しい造をしています。もちろん当店でも初めて見かけた珍品。笄直しはよく見かけますし、普通は紋のある額だけを流用するのですが、笄の耳掻が入るとユニークになるものですね。本作は珍しいだけが売りではありません。どっこい、元になった笄の所作がまた素晴らしいのです。鑑定書では色絵となっていますが金は袋着です。おまけに魚子地の上にたなびく霞(雲?)に添えられた露玉は銀象嵌で、ハッキリしませんが素銅らしき象嵌も・・・そこへ木瓜紋を三双。蕨手も深くしっかりと金象嵌が施されています。笄そのものが上質の出来の良い注文作です。
笄が造られたのは室町後期でしょう。それを笄に仕立て直したのは、下っても江戸最初期。本体の地板の合せ目が一カ所しか確認出来ず、片手巻の可能性すらあります。時代がある上に、色々と謎が隠されている貴重な小柄ですね。その最大の謎、なぜ耳掻を残したのか・・・あくまで妄想に近い推測ですが一つ考えられます。いざ小柄に直す時に、地に配した霞の所作を小柄の地に再現出来なかったからというのはいかがでしょう? 通常の笄ならば、紋の周辺は魚子地だけの場合が殆んどです。本作は魚子に加え霞が地の紋様として描かれていて、おまけに眉形と木瓜との間が狭く、そのまま切り取るとバランスが悪くなります。周辺の地金を打延ばそうにも霞の紋様を彫って描けず、思案の結果この姿に・・・。もし霞の紋様がなかったら、今の姿とは違った小柄になってかもしれません。そんな意味では、霞を彫った笄の作者を賞賛したいと思います。そして耳掻を残した後世の作者もあっぱれです。

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