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小柄

小柄

棕櫚図(無銘・傍後藤)

商品番号 :KZ-030

江戸初期 特別貴重小道具 桐箱入

80,000円

赤銅魚子地 高彫(鑞付据紋)

長さ:9.63 cm  幅:1.43 cm  高さ:0.70 cm
棕櫚・・・「シュロ」と読みます。なんでヤシ科の植物が画題にと思われますが、実は家紋や神紋にも使われており、棕櫚で作られた束子・箒は汚れを掃き清める道具であり古くから縁起物(無病息災など)としての一面があります。真直ぐに伸びる様をそのまま小柄の額に配した本作のデザイン。江戸初期はあろうかという時代にもかかわらず小洒落てます。作者のセンスが時代を先取りした感覚に感服です。鑑定書は傍後藤となっていますが、本家筋にも劣らない、いや斬新さからいえば本家を超えたデザインです。褒め過ぎ・・・これはあくまで当店の評価なのであしからず。
肝心の時代を極める見処ですが、とても興味深い点があります。本体の造自体は二枚貼の地板嵌込と思われ室町期までは上げられませんが、色絵の痕跡が問題です。本作は無赤銅にみえますが、よくよく観察すると葉を除いた茎部分すべてに金片が確認できます。もともと金色絵が施された華やかな小柄だったのです。その金片が裾際だけに線状に残されていて、上部には一切見当たりません。まるで金板を意図的に剥がしたように金板の跡がなく、仮に江戸初期以降の金色絵なら擦れた個所や鑞付の跡が残されていても良さそうなのですが・・・。もしかしての話ですが、この色絵は袋着だった可能性があります。それなら上部の表面に金板を残さずにキレイに剥がすことも、剥がれてしまうことも考えられます。もし袋着だったなら時代は少なくとも江戸初期、よければ桃山期まで遡ることもあり得ます。ただ、袋着の場合、裾際に筋状の溝がある筈ですが、本作には所々しか確認できません。もちろん、埃手垢等が埋まって見えなくなっているのかもしれませんが。色絵が見た目に残っていたなら、傍系ではなく本家筋のかなりの上手作に極められたかもしれません。それでも、現在の無赤銅に見える真っ黒い姿もそれはそれで評価出来る作だと思います。

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