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小柄

小柄

親子牛図(無銘・古後藤)

商品番号 :KZ-041

桃山期 保存刀装具 桐箱入

220,000円

赤銅七子地 高彫(鑞付据紋) 金袋着 裏哺金

長さ:9.74 cm  幅:1.45 cm  高さ:0.83 cm
ズッシリとした重量感、本体が哺金なのを考慮してもかなり重い小柄です。小口を見ても確かに地金は厚目で、下部も上部もほぼ同じ厚み。重さの理由はそれだけではなさそうです。
紋はこんもりと盛り上がり、山高く谷低い後藤家の掟を地でいく見事な彫です。これは圧出ではなく肉彫の紋でしょう。額の地板は左右にアールがかかり・・・なるほど、そういう事ですか・・・本小柄は笄直のようです。道理で牛の向きが右を向いているわけです。笄の紋を利用し、底を削ったり両端を延ばしたりして小柄の地板とするわけですから、地板そのものが重いのです。本小柄の重さは、笄直にあったようです。紋の両端あたりの七子をみると、やっぱり・・・ほんの僅かですが粒の大きさが異なり、七子を打ち直した跡が小口側に確認できます。でも戸尻側は見分けがつきません。何とも見事な七子の所作、恐れ入ります。牛の足元と綱の間にある!〜2mmといった隙間にも七子が打たれていますが、これは驚くことではなく紋自体が鑞付据紋だから現われる所作です。これだけ小さな隙間だと、そそらく七子鏨は入らないでしょう。入っても、満遍なく打つことは物理的無理かと思います。それでも可能にするのが古人の技かもしれませんが、本小柄は据紋にした隙間があります。
画題は親子牛。綱に繋がれた親牛の尻尾を仔牛が引っ張って駄々をこねているのでしょうか、愛嬌があります。漆黒の赤銅に綱と杭だけが金、地味ながら好感が持てる配色です。紋の時代はおそらく桃山期、鑞付据紋を考慮すれば室町期までは上げれないと思います。本体は江戸初期以降の後補。かなり状態の良く上手の一作です。

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