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小柄

小柄

桐紋五双図(無銘・古後藤)

商品番号 :KZ-062

桃山期 桐箱入

190,000円

赤銅七子地 高彫(鑞付据紋) 金置金色絵

長さ:9.65 cm  幅:1.38 cm  高さ:0.50 cm
家彫の象徴的画題とも言える桐紋をあしらった小柄。緻密で繊細な彫を施した端正なフォルムの桐紋を五つ、漆黒の地金をした桐紋五双図です。最初に期待するのはやはり後藤の作なのかという点だと思います。本小柄には鑑定書が付いていませんが、間違いなく後藤家の手になる作でしょう。総体の造、所作、風合いから古後藤に持って行くしかありません。
その桐紋の彫口は実に丁寧で精美。厳つい個所もなく丸みを帯びたフォルムは上品です。後藤家の極所でもある特殊鑚も掟通り一つの紋につき十個確認できます。では、古後藤の中でも誰の作か?・・・当然、古後藤ですから銘はありません。紋の細かな形状・彫口の相違などから絞り込むしかありません。この辺の極は大御所の先生たちや協会関係の研究者、手練れの愛好家の皆さんの独断場。当店の出る幕はありません。そんな方々の資料等を参考にさせていただけば、後藤家四代光乗、五代徳乗あたりの作ではないかと推測しています。桐紋の形状に加え、その色絵が金置金であることも判断の一つとしました。ツルツルになった七子の擦れを考慮すれば上三代の可能性もあるのですが、上三代であれば色絵はウットリか袋着。安易かもしれませんが、色絵は重要な判断要素です。こうした点から導き出した当店の極、皆さんはどう極めるのか知りたいものです(え? 光乗か徳乗かどっちかにしろと・・・いじめないでください・・・決めきれないので表題では古後藤と逃げました)。
ところで本小柄には小刀穂が付いています。正確には付いているのではなく小刀穂が抜けないのです。残念ですが裏面に穂を締め付けた凹みがあります。せっかくの上手作なので遺憾の意を表します。その小刀穂には「美濃守藤原政常」の銘が・・・仮に正真だとしても銘のある側が研がれているようです。鑢目は少しは残っていますが、これは本来いけません。基本、銘のある場所=鑢目のある場所を研いではいけません。刀で言えば銘のある中心を研いでいるのと同じなのです。まあ、綺麗になってしまったのは仕方ありませんね。裏側は弯乱の匂口がはっきりと現れています。いい小刀です。

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