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小柄

小柄

秋草に蝶図(無銘・古金工)

商品番号 :KZ-067

桃山期 保存刀装具 桐箱入

200,000円

赤銅七子地 高彫(鑞付据紋) 金袋着色絵

長さ:9.72 cm  幅:1.48 cm  高さ:0.75 cm

真黒ではありません。ほんの少し赤みを帯びた感じがします。その赤銅地に秋草と蝶をあしらった本小柄。金の袋着を両端の花だけに施し、その間は二匹の蝶も秋草も色絵はなし。露をあしらった個所にだけ金を施してあるだけです。しかしよく見ると、蝶の羽の際端に、金板の残片がかろうじて確認できます。たぶん、この二匹の蝶には金が施されていたと思われます。そうすれば、色絵のバランスが取れます。とはいえ、本体部は健全で、七子地もあまり擦れがありません。
紋自体は鑞付据紋で、何ヶ所か紋に遮られた半月状の七子が確認できます。その紋ですが、美濃によく見られる鋤出彫風で、画題の文様も美濃風のデザイン。しかし鑑定書の極は古金工となっています。んー、この手の作に美濃や古美濃の極をすることが多い日刀保さんが、どうしたのでしょう。前の持ち主さまが、この極に不屈なのか鑑定書の封筒に墨で「古美濃古金工之作」と独自の表記をしています(気持ちはわかります)。桐箱にも和紙の帯紙に「・・・古美濃系・・・」と朱墨で書いています(かなりの憤慨ぶり)。当店としても、前主さまと同じ見解です。ただ、前主さまは「室町時代」とも書いておられます。この時代極は少し無謀かと・・・あっても桃山期の古美濃とみています。理由ですか?・・・袋着の金板が残っていない割には蝶紋の擦れがあまりない点、そして金板の残片の残り方に違和感が・・・あり得ないかもしれませんが、紋の裏側まで金板を廻り込ませた状態で地板に鑞付したような所作に思えるのです。普通は紋の裾につけた溝に金板を貼付る所作になるのですが、この紋には溝がなく、地板との隙間から金板がはみ出たように見えるのです(錯覚でしょうか)。そうだとしたら、時代が少し下がった手法だろうと推測するのが妥当ではないでしょうか。ちなみに本小柄は笄直です。七子を精査すると、紋の端から七子の粒状が変化しています。総じると、紋は江戸期に近い桃山期、本体は江戸前期以降の作・・・時代はともあれ、蝶が画題になると何故か魅力的に思えるのは当店だけでしょうか?

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