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小柄

小柄

粟穂図(無銘)

商品番号 :KZ-086

江戸初期 桐箱入

40,000円

赤銅七子地 高彫 金色絵 銀露象嵌

長さ:9.63 cm  幅:1.33 cm  高さ:0.44 cm  紋部高さ(最大):0.52 cm

小口を見て、その地板の薄さから片手巻かと疑ってはみたものの、刃方と棟の両側面にくっきりと筋が・・・二枚貼構造ということを確認し、では地板の構造はと思い、小口から内部の打出を探ると・・・凸凹の感触が伝わってきました。う〜ん、やっぱり地板嵌込ではなく裏からの打出に毛彫を加えた本体と一体となった構造、つまり二枚の地板からなる単純な構造で、それなりに古さの根拠と言える所作です。地板の薄さ、そして二枚貼構造から時代は江戸最初期頃だと思われます。ただそれだけでは根拠が薄いので、他の所作も検証です。
随分と擦れた七子地は細かく外周も揃って蒔かれています。しかし紋の際に蒔かれた七子は紋の形状に苦労して合わせたようで不揃い気味(ルーペで拡大しないとそこまで不揃いには感じません)。紋の彫口は上手で、特に曲線を描く葉の表情は滑らかで形良く、粟穂も細かくリアリティがありGOOD。その粟穂に施された色絵は、袋着に見えますがおそらく銀鑞による色絵。擦れた色絵の縁にうっすらと白っぽい(銀)色が覗いています。この粟穂や万年青、葡萄の実といった細かな丸い実は、色絵の擦れ方でよく袋着やウットリと見間違えることもあり注意が必要です。他には銀の露象嵌が施されていますが、この所作はかなり緻密で巧みな所作、見事です。地金の色はかなり黒い赤銅、紋のレイアウトは中央にバランスよく置かれています・・・審査ではおそらく古後藤に極められるのではないでしょうか。当店の場合は「後藤」もしくは「後藤(江戸初期)」と曖昧に逃げますが・・・。
少し残念なのは裏面に少し凹みがあるのと、小口に割れ(刃方側に3ミリ、棟側が5ミリぐらい)があることです。それでも当時はかなり上手の作だったはずであり、約400年の年月と実用に供したその功績を考慮して大目に見てやってください。

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