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小柄

小柄

牡丹図(無銘・古後藤)

商品番号 :KZ-095

室町後期 保存刀装具 桐箱入

170,000円

赤銅七子地 高彫 金ウットリ色絵 銀露象嵌

長さ:9.70 cm  幅:1.40 cm  高さ:0.48 cm  紋部高さ(最大):0.61 cm  重さ:29.2 g

牡丹というより菊の花に見えそうな、いや、この大輪の花びらはやっぱり牡丹です。大きく花開き表情豊かに咲き誇る様は、柔らかで大らかな風情を醸し出しています。腰はそれほど高くありませんが、結構リアルな彫口と構図が思った以上に華やかさがあります。花に施された金のウットリ色絵が、煌びやかな印象を作り出しているようで、実際、かなり厚手の金板で花びらを覆っているようです。金の色合いも濃く思えます。葉には銀の露象嵌、こちらはウットリなのか袋着なのか、よく判別できません。でも金は袋着ではなくウットリです。右の花の紋裾に金板の剥がれた個所があり、その立ち上がり部分に金板をカシメた痕跡が残っていてウットリの所作を示しています。つまり、本小柄は古いということであり、室町後期頃に作られたと推測されます。案の定、鑑定書には古後藤の極が。(因みに鑑定書では色絵が金銀袋着となっていますが、これは日刀保さまが最近ウットリと袋着を区別していない?ためだと思われます・・・この二つの技法は時代に関係すると思うんだけどなぁ。)
う、しかし待てよ、古後藤?・・・後藤家の所作にしては紋の高さが少し低い気がします。もうちょっとモッコリとして、山高く谷低く高低差があっても良さそうな。それに、この花びらの形状・・・確かに花びらの元がゆったりとして窄んではいません。しかし、花びらが二重に飛び出るような形状は見かけないものです。まあ、このちょっと不定形な形状によって動きがある演出になっていることは確かです。もちろん、掟通りではないから後藤家ではないとは言い切れませんので、ここはスルーということに・・・なははは。
造は二枚貼合構造に地板嵌込。地板と本体の間に薄板が一枚挟まっています。時代の割にはかなり進化した構造なので、笄直かと思ったのですが、紋のない地板の両脇を見ても七子粒を蒔き直した形跡がありません。横から見た稜線も至って平坦で丘のように盛り上がった形状もありません。え〜? これはまさしく最初から小柄として生まれた? しかし、紋の向きは笄仕様、切口も右側にあり枝葉の伸び先は左に流れています。可能性としては2つ・・・やはり笄直で、リサイクルの処理がその痕跡がわからないほど極めて上手い。もう一つは、小柄として作られ、紋の向きは無視された。(紋の向きや陰陽、そして対の概念は、江戸中期以降に浸透したとも考えられます・・・あくまで推論) もしくは小柄の小柄直。もし、生時が小柄だとしたら、これはこれでかなり希少な作と言えます。当店では室町後期に作られた笄直以外の小柄を経眼したことがほとんどありません。大概は笄直で、室町期の生姿の小柄が残っているのははかなり稀な事例です。みなさんはどちらを支持しますか? それとも別の解釈を持ってらっしゃるとか・・・。

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