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目貫

目貫

蕨図(無銘)

商品番号 :MK-001

江戸初期 桐箱入

50,000円

赤銅地 容彫

表/長さ:3.72 cm  幅:1.60 cm  高さ:0.46 cm
裏/長さ:3.77 cm  幅:1.60 cm  高さ:0.46 cm
一家繁栄表す蕨(羊歯)を容彫りした本目貫。高さはありませんが、赤銅の地板を丁寧に圧出した江戸初期頃の作です。その圧出の技が絶妙で、薄く均一に、でもプレスしたように正確ではなく、所々ムラがある点に手で打出しましたという素朴さと味わいを感じます。。底面に僅かながら厚みのバラツキがみられ、金工が鏨で整えた所作が確認でき好感が持てます。上手いですね。この圧出の技は、江戸中期以降の板厚の目貫と比較すれば一目瞭然、改めて古作の良さを実感出来るのではないでしょうか。
角隅に残っているのは麦漆の残片で、板厚が薄く平たい形状のために潰れないようにするための補強か、柄へ接着したときの名残です。表の彫もまた巧みで、太く伸びる茎穂に細かく付けられた産毛の表現が不思議にリアルで、丸く渦巻く穂先は愛らしくもありユニークな一品です(タコの足に見えなくもないです)。途中までしかない大きな葉は、葉先の方の彫に比べ意外に大雑把。こうした表現の違いで「先」と「元」に強弱をつけており、写実性よりも全体の構図にバランスと躍動感を出しているあたりは評価すべき見所です。よく見ると。葉の表、裏を描き分けており、素朴だからと言って手を抜いているのではないことが窺い知れます。色絵もなく決して派手さはない目貫ですが、力強さと存在感があり、何か惹き付けられる魅力を感じます。やはり、フックラとした茎に丸まった穂先がそう思わせるのでしょうか(あくまで私見です)。

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