表／長さ：2.75 cm　　幅：1.43 cm　　高さ：0.55 cm
裏／長さ：3.45 cm　　幅：1.34 cm　　高さ：0.50 cm
小槌を手にした大黒天、定番の大きな袋に米俵、どれもが丸味を帯びてふくよかに打ち出され、愛らしい姿が魅力です。少し小振りの目貫ですが、あなどれません。米俵の彫はもちろんですが、袋には蔓と家紋のような彫が。よく見ると着ている服にも家紋らしき紋様が・・・抜かりありません。なかなか繊細な彫が施された目貫です。表目貫と裏目貫のデザインというかフォルムがかなり異なっている点は面白く、かといって一対の目貫として整合性はキチンと取れています。構図を考案した作者は、かなり頭をひねくり回したことでしょう。もちろん、合せ物の目貫では決してありません。
この大きさと擦れ具合からから見て、小脇差等の拵えに出し目貫で使われていたかもしれません。色絵も施されていないことから、かなり実用的というか、実用に即された目貫だったことが伺われます。