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目貫

目貫

輪宝紋三双図(無銘・古金工)

商品番号 :MK-053

江戸初期 特別保存刀装具 桐箱入

150,000円

赤銅地 容彫

表/長さ:3.68 cm  幅:1.62 cm  高さ:0.62 cm
裏/長さ:3.56 cm  幅:1.48 cm  高さ:0.56 cm
人によって捉え方は区々ですが輪宝は一種独特の雰囲気というか、仏教ならではの神秘性や荘厳なイメージを如実に感じられる代物で、イデオロギーの象徴に思えてしまいます。画題としてはかなり古く、愛好家にとっては人気のあるデザインの一つです。知らない人が見れば、車輪だ、歯車だ、しまいには舟の舵にしか見えないようですが、意味を知ればその奥深さに興味がわくことでしょう。
いいですね、この輪宝。8個の突起、そして円形の中の筋や模様が丁寧かつ味わい深く彫上げられています。味わい深くと言ったのは、一個一本の溝や線にタガネの後がしっかりと刻まれていて、あ〜手彫りだ!と一瞬でわかる所作が彫全体に見られるのです。遠目にはまるで機械で工作したかのような印象ですが、拡大してみれば金工が根気よくタガネをふるった痕跡が見てとれます。裏行もまた見事で、地板をかなり薄く圧出し丁寧な技を披露しています。造込自体からみれば古い技を遺憾なく発揮した優品ですが、足は桃山期のそれとはちょっと異なるような・・・後補としてみれば、本体は室町後期もあり得るとかもしれません。しかし、自信が全くないのでここは江戸初期の作としておきます。
それから三双図の配置ですが、本目貫は真中の輪宝だけが上にズラしたフォルムで、よくこの配置は古い作に多いなどと言われます。一般的にはそうですが、それだけをタテに室町期の作とするのはちょっと無謀です。あくまで、確証を得るだけの造込や所作がなければ、イメージだけの極になってしまいます。みなさんご注意を! 時代を問わなければ、彫に見応えたっぷりある逸品です。

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