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目貫

目貫

丁子図(無銘・古後藤)

商品番号 :MK-054

江戸前期 特別貴重小道具 桐箱入

70,000円

赤銅地 容彫 金色絵 銀露象嵌

表/長さ:4.65 cm  幅:1.33 cm  高さ:0.53 cm
裏/長さ:4.63 cm  幅:1.35 cm  高さ:0.51 cm
いいデザインです。野暮ったさもなく、丁子の花や実を大げさにデフォルメするでもなく、スマートで上品にデザインしています。お洒落な目貫ですね。中心から左右に弧を描きながら拡がるように、葉や蔓そして実と花を配置して、華やかで色っぽいイメージを醸し出すあたりに作者のセンスを感じます。曲線で構成するそれぞれの部位が同じような太さにしてあることも、厳つさがなく惹かれる要素になっているのかもしれません。(ここまでは店主の好みに沿った勝手な解釈です。)そんな魅力あるデザインは、彫もまた上手です。上手いと言うよりきっちりと仕上げているという表現が正しいのかもしれません、葉脈、蔓、実、どの造形も手抜かりなく彫上げ、そこに小粒な銀の露象嵌。この露象嵌も粒の大きさが計算されているようで、出しゃばらずさりげなく置かれ上品さを演出しています。丁子の実だけが金色絵で、よく見ると針で突いたように極小の穴が蒔かれています。この所作は金のぎらつく光を押さえるためなのでしょうか・・・敢えてマットな落ち着いた金色を狙ったとしか思えません。
ここまで表の所作を褒めると、裏行にも期待したいところですが、それは時代の流れが許さないようです。本目貫は江戸前期の作、案の定、少し肉厚です。形も少し横長になり圧出も強くはありません。表は見栄え良く緻密になっていき裏は変化がなく緩くなっていく・・・見せる目貫へと移行するちょうど変遷期にあたる作と言えます。残念なのは底面が削られて背が低くなっている点。惜しいですね。時代の荒波ですから如何仕方ありませんし、表を楽しめるだけでも充分満足できる作です。いい作なれど時代は上がらず、と言った作でしょうか・・・上がらないといっても江戸前期(江戸初期ではありません)はありますが。
あ、こうなると鑑定書にある古後藤との整合性が・・・古後藤であれば江戸初期・・・いや、鑑定書は鑑定書、当店は当店の極。流されず、目を瞑らず、後ろを向かず、です。

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