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目貫

目貫

胡瓜図(無銘・古金工)

商品番号 :MK-063

室町後期 保存刀装具 桐箱入

売約済

赤銅地 容彫 金露象嵌

表/長さ:3.42 cm  幅:1.50 cm  高さ:0.52 cm
裏/長さ:3.46 cm  幅:1.52 cm  高さ:0.52 cm
画題を胡瓜図とすると、ちょっと野暮ったく生活感を感じます。じゃ〜瓜図(すこ〜しだけ粋なイメージ)でもいいと思われますが、本目貫のフォルムは、どう見ても胡瓜です。それとも糸瓜?
題目はさておき、画題の質感というか彫の表現は上手です。見る限り胡瓜(糸瓜)です。縦の筋状の凹凸具合が絶妙で、それに歪み湾曲した葉が絡んで生い茂る様が立体感と動きを出しています(勝手な趣向の視点ですが作位を高く見ています)。加えて無赤銅でここまで表現できることに、金工の巧さが感じられます。難をいえば金の露象嵌の多さでしょうか。でもこの良し悪しは判断お分かれるところで、皆さんにお任せします。 裏行は・・・麦漆が残存しているので、かなり曖昧な説明と思ってください。おそらくですが、底面を削られていると思われます。表の高低差のある彫に対して背が低い点、そして部分的にですが鑢痕が確認できる点、それによって底面の板厚が広くかなりランダムになって、かつ、際端の裾部が低く紋部分に迫っています。時代の割に地板が厚い理由はここにあると思います。そしてこの麦漆は最初から施された可能性が高く、麦漆も含めて後世に削られ高さを調整された感があるのです(残念ですが以下仕方ありません)。根(足)はたぶん無いでしょう。
本作に施された麦漆に関して、興味深い点が一つあります。この麦漆、本来あった抜孔の多くを塞いでいるようです。抜孔に漏れ込んだ麦漆がそのまま固まって、まるで地板のように見えているのです。よく精査して見ると、その部分は地板がかなり乱雑で尖った凸凹で、鏨で整えながら抉った彫痕とは明らかに違います。つまり、本作は抜孔が多くあって(少なくとも5〜6箇所)もう少し繊細な目貫だったということです。これをどう捉えるかは難しいと言わざるを得ません。時代的な評価も含めた作例として捉えるのか、品質・状態として捉えるのか・・・・愛好家の方の判断一つで評価は二分されると思います。これとは別に表目貫の裏面に小さな亀裂が一箇所確認できます。愛蔵・鑑賞する分には何の問題もありませんが、ご報告しておきます。ちなみに、化石の掘り出しと同じように、本目貫の麦漆をカリカリ、ジワジワとほじくることはできますが、あまりお勧めはしません。なにせ硬さは石並です。性に合っているという方はトライするのも楽しいかもしれません。(余計な話でした・・・)

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