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目貫

目貫

鼻革図(無銘・古後藤)

商品番号 :MK-079

江戸初期 保存刀装具 桐箱入

80,000円

赤銅地 容彫

表/長さ:4.04 cm  幅:1.48 cm  高さ:0.53 cm
裏/長さ:3.98 cm  幅:1.40 cm  高さ:0.56 cm

馬具の中では結構ポピュラーな画題である鼻革の目貫。左右対称な形状に見えますが、そこは古き金工のこだわりと技の見せ所。綱の動き・形状に変化をつけて表裏目貫に違いをつけています。(ちなみに、美濃や幕末の数物には左右対称や向きもまったく同図の目貫がありますが、やはり意匠に満ちた作品に手作り感を求めたくなります。)本目貫では表目貫の左上の二本の綱が真っ直ぐ横に伸びて、裏目貫は片方の綱が下に折れ曲がった構図。やはりメインとなる表目貫に力強さを与え、裏目貫で変化をつけて一対とする、いわば陰陽の考え方が如実に現れているようです。もう一つ面白い工夫が・・・本目貫には抜孔がありません。抜孔になりそうな個所を綱や紐を巧みに配して孔を塞いだデザインとなっています。ある意味ズルい、しかし巧い、金工の知恵を褒めましょう。
造でいうと、板厚はかなり薄めですが、縁を打返したようにしたのか内側へバリ状に出て、それが必要以上に厚く見させているようで、柄に装着するときに施した所作でしょうか。圧出は強めですが括りは見られず、少し残念。これがふっくらとした括りのある腰高の形状なら、桃山期の目貫と極めたかもしれません。材料は赤銅地となっていますが、少し赤みを帯びた無赤銅で、鑑定書にある古後藤の極にはちょっと同意しかねます。古後藤に行くなら、彫口やデザインにもう少し手を加えた所作があってもよさそうな・・・当店だったら古金工とする作域の目貫だと思うのですが、皆さんの極はどのへんに? まさか京金工とかは無しですよ・・・。

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