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揃金具

二所物

飾り道具図(無銘・伝乗真)

商品番号 :SK-006

室町後期 特別保存刀装具 『古笄』(池田末松・三宅輝義著)/『時代三所集』(池田末松著)所載品 桐箱入

600,000円

笄/赤銅魚子地 高彫(鑞付据紋) 目貫/赤銅地 容彫

笄/長さ:22.5 cm 幅:1.32 cm 高さ:0.51 cm
目貫/[表]長さ:4.46 cm 幅:1.60 cm 高さ:0.45 cm [裏]長さ:4.36 cm 幅:1.59 cm 高さ:0.44 cm
綾之小路物(あやのこうじもの)と称された飾り道具を画題にした笄と目貫の二所物です。この飾り道具、どう使用するのかわかりませんが、笄の側には芹が彫られています。上部の葉はすぐ判別できたのですが、下部の細長い草状のものは芹の根だそうです。こっちも葉のように見えるのですが、それは当店の貧学をさらした見方のようです。しかしこの二所物の内の笄は、極が二転三転している難物。最初に出版された『時代三所集』で池田末松氏は画題を不明とし極を「無銘・古後藤」としています。その後出版した『古笄』では、画題を綾之小路物であると探り当て、極を「無銘・宗乗」としたのです。彼なりに極を絞り込んだわけです。そして日刀保の審査の結果は、「無銘・伝乗真」の極。この際、作者の極は質さないことにしましょう。なにせ無銘なのですから、この後も四転五転するのが目に見えるようです。実際、乗真の作として金ウットリ象嵌を施した近似作も紹介されていますので、その後も後藤系統で画題を踏襲した可能性が大きいと思われ、同じ画題の作例があってもおかしくはありません。もし本作に準じた作例を経眼されたり、お持ちの方はぜひお知らせください。興味のある方と一緒に色々と詮索すれば、面白い話ができると思っています。
肝心の作行ですが、どちらも無赤銅でフォーマルな渋い印象を受けます。笄の彫は評価の通り見事で、地金も真黒な赤銅に端正な七子、古後藤系に極めたくなるのは頷けます。ただし紋は鑞付据紋です。目貫はちょっと厚めの地板ですが、強めの圧出で良い作りです。しかしこの目貫の色合いが気になる点で、明らかに笄の色合いと異なっています。つまり、本作は純粋な二所物ではなく、取り合わせた二所物です。どちらも桃山期以前の作ですから違っていて当たり前、それぐらい悠長に捉えてください。では、いつ二所物に合体したのでしょうか。おそらく『古笄』が発行された平成5年7月以降ということになります。この時点ではまだ笄単品として紹介されていますから、そう推測するのが妥当かと思われます。やはりセット物は魅力が増すのでしょうか・・・それとも単に価値を・・・憶測で言ってはいけませんね、失礼しました。

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