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揃金具

二所物

猛禽図 鐔・英舎軒美政(花押) 縁・正寿(花押)

商品番号 :SK-012

江戸後期 桐箱入

120,000円

鐔/喰出彫 赤銅七子地 高彫 金銀赤銅色絵 丸耳 小柄孔仕立   縁/赤銅地 高彫(鑞付据紋) 金色絵

頭/赤銅地 高彫(鑞付据紋) 金色絵

鐔/縦:4.65 cm  横:3.00 cm  切羽台厚さ:約0.53 cm  耳際厚さ:約0.51 cm  紋部厚さ(最大):約0.59 cm
縁/縦:3.72(紋含:3.93)cm  横:2.18(紋含:2.28)cm  高さ:1.10 cm
頭/縦:3.33 cm  横:1.67 cm  高さ:0.66(紋含:1.05)cm

二所物といっても取り合わせの作です。作者の異なる作品を二所物として紹介することに少し気が引けます。こういうケースは江戸の頃から普通にあったようで、同一作者の、それも揃金具として最初から作られて今に残る例は意外に少ないものです。というか、稀です。なので、取り合わせの作が当たり前なんだと開き直って、本作を紹介します。 個別に作られた作を揃金具と称するには、それなりに共通のテーマなりコンセプトがないと成立しません。本作の共通テーマは猛禽です。鐔と縁頭に彫られた猛禽はどちらも鷹でしょう。隼ではないようです。
まずは鐔から・・・鷹が狙っているのは白鷺。全体の構図は岩場に生えた老松で鷹が上を飛ぶ白鷺を虎視眈々と狙っています。老松には絡む蔦と窩も彫られています。それらを耳に沿って彫り込み、小さな喰出鐔に展開する工夫が見られます。彫は無垢の肉彫で七子も微細で整然と蒔かれています。縁頭は、猿を狙っている? 小猿でしょうか、ちょっと物騒な印象ですが、大木の陰で猿が身を潜めているのかもしれません。頭に鷹、縁に猿を描き、こちらは空から狙っている構図です。縁頭の彫は高彫とはいえ、大木と枝葉、そして鷹は鑞付の据紋です。
地金はどちらも鑑定書には赤銅地と書かれていますが、おそらく山銅でしょう。そこに金・銀・赤銅の色絵を施してあるようです。作位的には縁頭の方が上手くみえますが、鐔の七子地はかなりの出来栄え、これでお相子ということで・・・
それにしても、地金と色絵の色合いはかなり似ており、高彫の度合いといい同じ猛禽といい、二所物として違和感なく揃えたものです。鐔の作者は英舎軒美政、金工事典には七人ほど記載がありますが、どの人物なのかは不明です。ただ、玉川美久の門人で英舎居美将という水戸金工がいます。脈絡はありませんが、作域も考えてその門人ではないかと。縁頭の作者は正寿。正寿も決定打がなく金工事典には18人も載っています。その中で最も近く思われのは、奈良派で正長の門人、奈良正寿。「〜正寿(花押)と銘し、猛禽図、芦舟図の縁頭や鐔がある。〜」とあり、もしそうなら、この縁の作域は奈良派の肉合彫に近いのでは・・・参考にする書物とは言え、刷り込みが影響し始めるとまずいですね(反省)。というわけで、詳細がおぼろげな二人の金工の取り合わせ、これも何かの縁かもしれません。

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