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鐔

波図(無銘)

商品番号 :TB-056

江戸後期 桐箱入

30,000円

撫丸形 赤銅三枚合波地 肉合彫 金色絵 露象嵌 漆塗覆輪 片櫃孔

縦:7.48 cm  横:7.03 cm  切羽台厚さ:約0.42 cm  耳際厚さ:約0.45 cm

かなり漆黒の色合いをした赤銅地の三枚合鐔。しかし、この色合いは少し不自然な感じがします。墨でも塗ったような色合いで、色揚げし直した可能性があります。三枚合とはいえその表板は、立体感のある波地の彫からもかなり厚みがあることがわかります。地板を少し彫り下げて波頭を浮き出させるような所作で立体感を出し、金色絵を施しています。外洋のごとく揺らぐ荒波は、毛彫でその向きや動きを表わした巧みな所作、波濤との組み合わせで全面に描かれた光景は結構な躍動感を感じます。加えて、波飛沫とも捉えられる金色絵を施した露象嵌が、これまた全面に多数配され賑やかさを演出しているようです。ちなみに表裏の図柄は同図ではありません。なかなか手の込んだ三枚合鐔で、巧みな彫口や金色絵、密に穿かれた露象嵌を考えれば、数物とはいえないと思うのですが・・・でも、三枚合であり、高価な注文品かと問われれば返事に窮する作です。
面白いのは赤茶色の漆と思われるものが塗られた耳際。何ヶ所か剥がれ落ちて地金が覗いており、何層かが重なっているのが確認できます。おそらく、一番下は赤銅の覆輪、その上に金色絵、そして一番上に漆・・・赤銅覆輪と金色絵は最初からの所作なのか、金色絵が後補なのかは判別できません。しかし、漆は後補なのは確かなようです。金色絵が落ちてしまったので漆を塗ったと考えるのが自然で、もし金色絵が充分残っていたのなら、わざわざそれを覆うようなことはしないと思うのです。不自然な黒々した赤銅地の表板も、その時一緒に色揚げされ直されたのかもしれません。
時代は江戸中期以降の作、おそらく後期の作でしょう。波地の所々に細かな波線が配されているのがわかるでしょうか・・・この波線は古金工のような古い作には見られない図柄で、新しい感覚のデザインです。波濤のデザインは古い形状を踏襲していますが、この波線があることで江戸前期以前には極められないと思われます。(新しいとみているのは当店だけの思い込みかもしれません。本当は江戸初期、桃山期あたりまで上がる可能性もあります。(例えば審査に出せば、その可能性が高まるかもしれません・・・フッフッフ!)

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