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鐔

縦線刻紋図(無銘)

商品番号 :TB-065

江戸後期 桐箱入

45,000円

丸形 鉄刻地 毛彫 角耳小肉

縦:7.82 cm  横:7.46 cm  切羽台厚さ:約0.54 cm  耳際厚さ:約0.45 cm

丸い平地一面に細い縦の線を刻んだだけの本作。絵柄はありませんが無紋と言ってよいのか、迷った挙句、画題は縦線刻紋としました。・・・そのままじゃねーか!と言われそうですが、線以外無いものは無いのです。その見た目に大概の人は、面白みもこれといった特徴もなく、つまんない鐔に見えます。否定はしません、実際その通りですから。それでも見所はあるものです。整然と刻まれた縦線は、まるで工作機械で彫ったかのようで、現代の工業製品ではないのかと疑われそうな出来栄えで、さらに評価を下げかねません。しかし、ルーペで刻線を覗くと、僅かな歪と経年の擦れや錆具合が手彫りの感触が伝わってきます。道具を使っての所作でしょうが、ほぼ正確な間隔と彫の調子に、作者の技術に敬意を評したくなるほどです(思わず、うまいなあ〜と、声が漏れます)。しかも地の肉置は切羽台が耳際より約1ミリ高い中高の造。碁石形とまでは言えませんが、切羽台から耳にかけてゆる〜い弧がかけられているのです。その弧がついた稜線に正確な縦線を刻むのですから、そに技を評しないわけには行きません。見事です。さらにです、なんと耳の側面にも線刻(おそらく3本)が周回しています。見え方が単純そうに思えますが、細かなところまで抜かりはないようです。ある意味、入念作と言えるのかもしれません(褒めすぎですか?)。で、それを証明するかのように、耳に金色絵の痕跡がポツポツと残されており、本来は耳をぐるっと金色絵で施されていたようです。ほ〜ら、少しプチ高級感を感じられる鐔に思えてきたでしょう?
時代は江戸後期、おそらく幕末でしょう。無櫃ですから脇指ではなく刀に装着された打刀用の本作、イメージ的には幕末の突兵拵にぴったりの顔をしています。シンプルな黒の柄前に細い線刻の黒い鞘、それに本鐔・・・(当店のセンスに鉄槌をお願いします)

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