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鐔

雁金菊透図(無銘・京透)

商品番号 :TB-207

江戸中期 特別保存刀装具 桐箱入

180,000円

竪丸形 鉄地 地透 毛彫 角耳小肉 両櫃孔

縦:7.39 cm  横:7.06 cm  切羽台厚さ:約0.50 cm  耳際厚さ:約0.58 cm  重さ:79.33 g

京透というと、繊細で品格のある垢抜けたデザインというイメージがあります。この捉え方はどれもがイメージであって、透という手法以外は明確な線引きや所作があるわけではありません。それも、現代(明治以降)の都合の良い勝手な区分けです。それでも“京らしさ”というイメージは存在するわけで、無視することのできないファクターでもあるのです。そんな視点で本鐔を見てみます。平坦な地金はシットリとした鉄味。角が取れた丸味は、熟成というか長年にわたって愛でられ育てられた感が伝わります。雁金と菊の葉を地透にして花弁は陰透、残った花筋の線は確かに細くはありますが繊細というほど華奢には感じられません。これは花びらの数が多いのでそう見えるのでしょう。葉っぱにはかすかに葉脈を彫った毛彫が確認できます。こうしてみると確かにシンプルで、小柄櫃孔に絡めて葉っぱを配するあたりはセンスを感じます。特に枝の切口も描いているあたりは・・・ただ、二つある雁金は描く必要があったのか、ちょっと疑問です。透には定番の雁金ですが、無くても十分にマ間が持ちそうな・・・もちろん、雁金を登場させることによって秋のイメージをよりアピールできますので、わからなくもありません。しかし、そこだけこじんまりとした形状は京透という繊細なイメージを少し削いだ感は否定できません。
姿は真っ平らに見えますが、切羽台が耳よりわずか低い中低の造で、微かにですが耳には鉄骨状の陰影が見えます。時代は江戸中期はあると推測され、その割には保存状態がかなり良い方です。厚みは5ミリ強あり京透の類では厚い方なのか薄い方なのか、あまり経眼数のない当店にはお手上げ(みなさん、実際はどうなんですか?)。これを機に京透というものをもっと語れるようになりたいものです。できれば、ご教示と説教を兼ねて当店に乗り込んできて欲しいと思うのですが・・・どなたかお待ちしております。

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