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+ 初見の小柄?

Copywritting by Nobuo Nakahara

 

この度紹介するのは初見のものです。というのは、写真A・Bだけ見れば明らかに小柄ですが、戸口と戸尻から見た写真C・Dは如何でしょうか。明らかに小柄の形(外見)はしていますが、明らかに無垢の塊です。つまり、小柄の外見はしていますが・・・。

 

では、これは一体なんでしょうか。

材質は鉄ではありませんが、何となく鉄に見えるようです。となると、赤銅かというと、赤銅の色合でもありません。残りは銅の合金ということになり、四分一か、または、それに近いものとなります。そうすれば江戸後期以降の作とみるべきでしょう。

全体の形状としては小柄の外形をしていまして、彫られた図柄からみてAは獅子に牡丹花(枝牡丹花)で、Bは薄(すすき)に露玉が彫られています。

 

Aを見ますと、左端に獅子がいますが、何となく虎とも思えない訳でもないのですが、牡丹との組合から多分獅子と思います。枝牡丹の蕾も何となく果実のようですが、右側に牡丹花というのが明らかに彫っていますので、牡丹の蕾でしょう。

BはAと違って少しは余地を残してあるもので、薄をある程度うまく構成し、配置しています。AとBでは彫口が違っていますが、表裏なのでしょうか。

ここまで考えてみて、一つの推測がでてきました。おそらく地方金工の見本か手本として残されたのかという事です。しかし、Bならこの推測はある程度は理解出来ますが、Aはちょっと拙い図柄構成と彫口です。悪戯かとも思いますが、小柄の形をしていなければ、文鎮?
(文責・中原信夫)

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