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INTELLIGENCE

♯ 写物か模倣でも見ていろ

Copywritting by Nobuo Nakahara

倉院というと、上古刀がかなり現存するというが、その上古刀の写物か模倣を依頼された刀匠から聞いた話であるが、刀身の法量、地刃のみならず、中心(なかご)部位の錆込、朽込まで寸分違わず、模倣させられて、苦心したとの事。

こうした厳しい、私にいわせれば見当違も甚だしい要求は、当然、管理側の宮内庁に属する役人の指示でもあるという。 ここで大事な事が判ってくる。つまり、役人は写物をやらせたのか、模倣をやらせたかったのかであって、どうも写物が主目的なら、前述のようなバカまる出しの条件はつけない。第一、法量はともかく、錆込、朽込についてはオリジナルか否かが不明である。

また、最初から模倣ならば、何の目的で国家予算を使って行うのかが疑問である。本科とされる代物(シロモノ)が厳然として残っているのであるから、新しく作って何の意味があるのか。手入れも忙しくなるよ。単なる予算の消化のための理屈づけで、厳しい要求は何の効果も大義名分もない。

 

つまり、貴重な伝世品といいながら、本当に1000年以上も前の作品の本当の意味、価値もわかっていないし、また、わかろうともしない困った御役人達である。それでいて、民間人がじっくりと見たいといっても、何や彼やと理屈をつけて見せはしない。

正倉院展を何十年前に帰郷の折、奈良国立博物館旧館で見たが、人並みに押されてしまって、見たのではなく眺めるだけで、アッという間に人の行列に飲込まれた。これに懲りてもう二度と行かないが、多分、現在でも同様か、それ以上であろう。

博物館は人数が多く入り、文化行政に貢献しましたと鼻高々に上の役所に報告し、これで良かったと胸を撫でおろす。本当にじっくりと見たい人にとっては迷惑千万である。こういう趣旨を博物館に申し入れたら、恐らく「御意見賜りました。次回は御意見を参考に、より良くする所存・・・」と回答し、次にまた同じ事を繰り返す。

 

そりゃ自分達役人は、人目のない所でコッソリと十分に手に取って見ることも可能。では、その役人達の給料は誰から出ているのか。本当にバカにするな!である。

おまけに管理不行届ならどうにもならないし、昔は、偽ガンダーラ展は大々的に催すし、もっとも、あの時の館長N先生は、村上先生の知り合いであったから、これでやめておく?。
(文責・中原信夫)

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