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INTELLIGENCE

♯ 刀は重いもの

Copywritting by Nobuo Nakahara

 前回の刀袋による服の局部的なヤツレを書いたが、私が村上先生のところへ入門したのは23歳の時。今に比べれば本当に元気であった。刀袋を2つ右肩に担がされて、大きな鞄を左手で持って、先生に随行したのであった。恐らく、今なら金輪際そんなことは絶対にしない。しかし、そうしろというなら、先生と縁を切ると言うであろう。

 

 私がもっとも重い刀袋を担いだときは、一袋で軽く20キロを超えて、確か35キロとは言わないが、そこまでいったことがある。さすがに、その時は重量を考えずに担いだら、背中の筋か何かが「プッチ!」といったので、それ以来、無理はしないようにした。

 その時は、九州出張中で、確か今から30年ぐらい前の話。さすがに翌日は身体が動かなくなって、とうとうアンマをやってもらった。俗にいうアンマさんが、私の身体を触って「お客さん、ずいぶん凝っていますし、普通の人はあまり凝らないところが・・・?。」といわれ、「お客さんは何の仕事をしておられるのですか・・・?。」といわれた。

 私は生来、マッサージ・アンマは大嫌いな方で、よくサウナ場でマッサージをしてもらいながら、グゥーグゥー寝ている人がいるが、私はそんなことには絶対にならない。しかし、その時は生まれて初めてアンマをしてもらった。「私の仕事? 実は土木作業で暮らしていますが・・・」と答えたが、「今日は、ある程度に身体をほぐしておきます。全部ほぐすと揉返しが酷くなりますから・・・」といわれたのを記憶している。

 

 私は未だに、何処も悪くない健康体であるが、村上先生は若い時から強度の糖尿病で心臓病。それでも、重い刀袋を1人で担がれて全国の刀剣会へ行かれた。その苦労を私は傍で見ていたが、それに比べて私は文句を言い過ぎるのかと思っている。が、しかし、刀は重いのである。
(文責・中原信夫)

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