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笄

筆墨図(無銘・乗真)

商品番号 : KG-013

室町後期 第26回重要刀装具 『古笄』(池田末松・三宅輝義著)所載品 桐箱入

売約済

赤銅魚子地 高彫 金ウットリ色絵 蕨手金

長さ:22.3 cm  幅:1.30 cm  高さ:0.64 cm
『古笄』(池田末松・三宅輝義著)に所載されている本作。乗真の極があるなしに関わらず、載せたくなる一品です。紹介文では「半分ほど使い切った唐墨三本に各々わずかな変化を持たせて彫り、中央に筆を表して奥には桜をそえている。春の風情を意図したものか金ウットリ色絵があざやかである。」と解説しています。筆墨に桜とは意外な組合わせに思えますが、春の風情というよりも、おそらく春の歌会を韻を踏んで表現した画題だと思われます。ともあれ金のウットリと艶やかな赤銅の黒との対比は見事で、優雅で華やかな宴を連想させ、遊び心に満ちた作といえます。公家辺りに伝わってきた一品と考えるのが自然かもしれません。素材の質、彫・色絵の技量も申し分なく、状態の良さも際立っており、重要刀装具に指定されるのも頷けます。ただ、画題に似合わず大胆で力強い彫、肉置豊かな姿から乗真との極には少し疑問が残ります。豪傑な武将でもあったとされている乗真が、果してこのような画題を採用したのか、試みたとしてもこのようなデザインを描いたのか・・・釈然としません。あえて京辺りの古金工とされた方が納得できるのは当店だけでしょうか。いずれにせよ、名品である事だけは揺るぎない事実です。

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