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鐔

牡丹花図(無銘・長州)

商品番号 :TB-016

江戸中期 貴重小道具 桐箱入

40,000円

変形 鉄地 鋤出彫 金布目象嵌 毛彫 両櫃孔

縦:7.26 cm 横:6.96 cm 耳際厚さ:0.60 cm
表裏に牡丹の花びらを6枚ずつ鋤出彫にした変形鐔。花びらの表裏を交互に組み合わせ、造形美という点では変りませんが、江戸後期によく見られる写実的なフォルムではなく、有機的ながら幾何学的なフォルムにデザインしています。そんな個々の花びら全体が一輪の牡丹を描いている様は、古風なイメージを残しつつ新しいデザイン手法が感じられる作といえます。なので時代設定が難しいのですが、花びらの縁に施した布目象嵌や耳の所作を考えれば江戸後期。でも、幕末まで下らない気もするのですが自信はありません。
上手の作とまではいきませんが、彫は丁寧で花びらの中に手抜きなく筋を彫ってあり、花びら一枚一枚の形もすべて異なっているあたりは数物の類いには入れたくはない所作です。金の布目象嵌ですが、花びらの縁だけにあしらったのは単に高級品ではないから、それとも縁の輝きを意図的に表現したのか、どちらにせよちょっと中途半端だったかもしれませんね。花びらの表面全体に施せとはいいませんが、かえって象嵌せずに鉄色一色だけにすればもっと迫力が出たような感じがします。
現状では少し乾いた感じがする鉄味ですが、塵を払い人の手で愛でてあげれば潤いある風合いが戻るでしょう。総体として地味に見えがちな本作ですが、実際はかなり奇抜で華やかな一面を元々備えている鐔だと思います。だれか面倒見のよい方に渡って本来の艶やかな姿を戻れることを期待したいと思います。

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